動画編集における時間管理:ノン ドロップフレーム方式
写真について聞きたい
先生、「ノンドロップフレーム」って写真撮影や写真編集でも使う用語ですか?映像編集の用語みたいですが、ちょっと混乱しています。
写真研究家
いい質問だね。写真撮影や編集で「ノンドロップフレーム」は直接的には使いません。「ノンドロップフレーム」は、映像における時間管理の方法で、1秒間に30枚の画像(フレーム)をそのまま扱う方式のことだよ。写真の場合は、枚数や時間よりも1枚ごとの画質が重要視されるからね。
写真について聞きたい
なるほど。では、映像編集でいう「ノンドロップフレーム」のように、写真に似たような概念はありますか?
写真研究家
写真で似た概念を考えるなら、連続撮影の枚数やコマ速、あるいはタイムラプス撮影の間隔設定などが近いと言えるかな。これらは時間経過を記録する方法として、映像のフレームレートと似た役割を果たすと言えるね。
ノンドロップフレームとは。
写真撮影や編集で使われる「ノン・ドロップフレーム」について説明します。ノン・ドロップフレームとは、動画編集で、1秒間に30枚の画像(フレーム)を使う方法のことです。似た言葉に「ドロップフレーム」があり、こちらは1秒間に29.97枚の画像を使います。テレビ放送のように、全体の時間が決まっている動画にはドロップフレームが、映画や宣伝動画のように細かい時間を調整する必要があるものにはノン・ドロップフレームが使われます。
ノン ドロップフレームとは
「ノン ドロップフレーム」とは、動画の時間を管理する方法の一つで、一秒間に30枚の絵が表示されることを前提とした方式です。動画はパラパラ漫画のように、何枚もの絵が連続して表示されることで動いているように見えます。この絵一枚一枚を「フレーム」と呼び、一秒間に何枚のフレームが表示されるかを「フレームレート」と呼びます。ノン ドロップフレームでは、このフレームレートを常に30枚と固定して時間を計算します。
例えば、30枚の絵が連続した動画の場合、ノン ドロップフレームではちょうど一秒の動画として扱います。60枚の絵が連続した動画であれば、二秒の動画として扱います。90枚なら三秒、と単純に30枚の絵で一秒と数えるため、とても分かりやすい時間管理の方法です。
この方式は、時間の正確さを重視する場合に特に役立ちます。例えば、テレビ放送では、決められた時間内に正確に番組を放送する必要があります。このような状況では、ノン ドロップフレームを使うことで、動画の長さを正確に管理し、放送時間を守ることができます。また、ニュース番組など、時間の正確さが求められる場面でもノン ドロップフレームが採用されることが多いです。
一方で、映画などでは、一秒間に24枚の絵を表示する「24フレーム」という方式が用いられることが一般的です。24フレームは、ノン ドロップフレームとは異なる時間管理の方法ですが、それぞれに利点があり、用途に合わせて使い分けられています。ノン ドロップフレームは、主にテレビ放送や、時間の正確さが求められる動画制作の現場で使われ、正確な時間管理を可能にする重要な役割を担っています。
項目 | 説明 |
---|---|
ノン ドロップフレーム | 1秒間に30枚の絵(フレーム)を表示する動画の時間管理方式。 |
フレーム | 動画を構成する一枚一枚の絵。 |
フレームレート | 1秒間に表示されるフレームの数。ノン ドロップフレームでは常に30枚。 |
時間計算 | フレーム数を30で割ることで、単純に計算される。 |
メリット | 時間の正確さを重視する場合に役立つ。 |
用途 | テレビ放送、ニュース番組など、時間管理の正確さが求められる場面。 |
比較 | 映画などでは、1秒間に24枚の絵を表示する「24フレーム」が用いられることが多い。 |
ドロップフレームとの違い
動画の時間表示には、大きく分けて二つの方式があります。一つはノン ドロップフレーム、もう一つはドロップフレームです。どちらも一見すると同じように時間を刻んでいるように見えますが、その仕組みには微妙な違いがあり、動画編集、特に放送用の映像制作においては、この違いを理解することが重要になります。
ノン ドロップフレームは、その名の通り、コマを落とすことなく、実際の時間通りにコマを数えます。一秒間に30コマの映像であれば、そのまま一秒間に30コマとして計算します。これは、直感的で分かりやすい方法です。例えば、1分間の動画であれば、30コマ×60秒で1800コマとなります。この方式は、ウェブ動画や、映画など、放送以外の用途で広く使われています。時間の流れを正確に表現できるため、時間のズレが生じにくいという利点があります。
一方、ドロップフレームは、NTSC方式のテレビ放送に合わせて作られた、特殊な時間計算方法です。NTSC方式では、一秒間に表示されるコマ数を29.97コマと定義しています。これは、カラーテレビ放送が始まった際に、白黒放送との互換性を保つために生じた、わずかな差です。この0.03コマ分の差をそのままにしておくと、時間の経過と共に誤差が蓄積し、放送時間のずれにつながってしまいます。そこで、ドロップフレーム方式では、一定の間隔でコマ番号を意図的にスキップすることで、この誤差を修正しています。具体的には、1分ごとに2コマ(1時間あたり108コマ)をスキップします。ただし、最初の1分間はスキップしません。このため、ドロップフレーム方式で表示される時間は、実際の時間とはわずかに異なります。
動画編集ソフトでは、通常、どちらの方式を使うかを選択できます。テレビ放送用の映像を制作する場合は、ドロップフレームを選択する必要があります。ノン ドロップフレームで制作した映像を放送しようとすると、時間のずれが生じてしまうからです。ウェブ動画など、放送以外の用途で使用する場合は、ノン ドロップフレームを選択するのが一般的です。どちらの方式を選択するかは、動画の用途によって適切に判断する必要があります。
項目 | ノン ドロップフレーム | ドロップフレーム |
---|---|---|
コマ数/秒 | 30 | 29.97 |
スキップ | なし | 1分ごとに2コマ(最初の1分間はスキップなし) |
時間 | 実時間通り | 実時間とはわずかに異なる |
用途 | Web動画、映画など放送以外 | NTSC方式のテレビ放送 |
メリット | 時間のずれが生じにくい | 放送時間のずれを防ぐ |
ノン ドロップフレームのメリット
時間を無駄なく使えることが、ノン ドロップフレームの一番の利点です。一秒は三十コマと決まっているため、動画の長さとコマの数の関係がすぐに分かります。これは、動画を編集する作業を早く終わらせることに繋がります。例えば、一分間の動画であれば、三千コマで構成されていると計算できます。三十分の動画であれば、九万コマです。このように、動画の尺とコマ数が比例関係にあるため、必要なコマ数をすぐに計算できます。動画の尺が分かれば、必要な記憶容量も計算しやすいため、記憶装置の容量計画も立てやすくなります。
ノン ドロップフレームを使うと、動画編集ソフト上での時間の表示と実際の時間がぴったり合うため、編集作業がよりスムーズに進みます。例えば、動画の五秒目を見たいと思ったときに、ノン ドロップフレームであれば、開始から百五十コマ目に移動すれば正確に五秒目の映像を確認できます。ドロップフレームの場合、時間の表示と実際の時間がずれるため、目的の場所を探すのに手間がかかることがあります。ノン ドロップフレームは、動画編集ソフト上での操作と実際の結果が一致するため、編集作業のストレスを減らすことができます。
さらに、ノン ドロップフレームは、時間の正確さが求められる映画や宣伝動画などでよく使われます。これらの映像作品では、時間の流れを正しく伝えることが大切です。例えば、一分間の商品紹介動画を作成する場合、ノン ドロップフレームであれば、一秒も無駄にすることなく、商品の特徴を伝えることができます。ドロップフレームの場合、数フレームが間引かれるため、伝えられる情報量が減ってしまう可能性があります。ノン ドロップフレームは、時間の流れを忠実に再現するため、時間の正確さが求められる映像作品に最適です。
ノン ドロップフレームは、時間の扱いが簡単で、編集作業の効率を高め、時間の正確さを保つことができるため、様々な映像制作の現場で選ばれています。動画編集の初心者の方にも扱いやすい方式ですので、ぜひ一度試してみてください。
ノン ドロップフレームの利点 | 詳細 |
---|---|
時間の無駄がない | 1秒=30コマで計算が容易。 動画の長さとコマ数の比例関係から、必要なコマ数や記憶容量を計算しやすく、時間や容量計画が立てやすい。 |
動画編集ソフトでの時間表示と実際の時間の一致 | 編集ソフト上の時間と実際の時間が一致するため、目的のシーンをすぐに見つけられる。 (例: 5秒目を見たい場合、開始から150コマ目に移動すればよい) |
編集作業のストレス軽減 | 操作と結果が一致するため、ストレスなく編集作業を進められる。 |
時間の正確さが求められる映像作品への適合性 | 映画や宣伝動画など、時間の流れを正しく伝える必要がある作品に最適。 時間通りの情報伝達が可能。 (例: 1分の商品紹介動画で、1秒も無駄なく商品の特徴を伝えられる) |
編集作業の効率化 | 時間の扱いが簡単で、編集作業の効率を高め、時間の正確さを保つ。 |
ノン ドロップフレームのデメリット
「ノン ドロップフレーム」とは、映像の時間情報を記録する際に、実際の時間通りに記録する方法です。一見正確な方法に思えますが、実はテレビ放送においてはデメリットがあります。特に、北米や日本で採用されている「NTSC」と呼ばれるテレビ放送方式との相性が悪いためです。
NTSC方式では、一秒間に正確には29.97コマの映像を表示します。これは、白黒テレビ放送時代に使われていた30コマから、カラー放送に対応するために少しだけコマ数を減らした名残です。ところが、ノン ドロップフレームでは、この微妙なコマ数の違いを考慮せずに、30コマとして時間情報を記録してしまいます。
この0.03コマ分のズレが、時間の経過と共に蓄積されていきます。例えば、1時間の映像の場合、このズレは1秒以上にまで膨れ上がってしまいます。ノン ドロップフレームで記録された映像をNTSC方式でそのまま放送すると、音声が映像よりも早く進んでしまったり、時刻表示に誤差が生じたりするなどの問題が発生します。
このような問題を防ぐためには、「ドロップフレーム」と呼ばれる時間記録方式を採用する必要があります。ドロップフレームでは、NTSC方式に合わせて、特定のフレームを定期的に「落とす」ことで、時間情報を補正します。具体的には、1分ごとに2フレームを落とすことで、1時間あたり108フレーム、つまり約3.6秒分のズレを解消しています。
もし、既にノン ドロップフレームで映像を制作してしまった場合は、専用の編集機材や変換ソフトを用いて、ドロップフレームに変換する作業が必要になります。この作業には、少なからず手間と時間がかかるため、テレビ放送を目的とする映像制作においては、最初からドロップフレームを採用することが推奨されます。そうすることで、後々の面倒な変換作業を回避し、スムーズなワークフローを実現できるでしょう。
時間記録方式 | 説明 | NTSC方式との相性 | メリット | デメリット | 対応策 |
---|---|---|---|---|---|
ノン ドロップフレーム | 実際の時間通りに記録 (30fps) | 悪い (ズレが生じる) | 記録が直感的 | 時間経過とともにズレが蓄積 (1時間で1秒以上) 音ズレ、時刻表示の誤差 | ドロップフレームに変換 (編集機材/変換ソフト) |
ドロップフレーム | NTSC方式に合わせ、特定フレームを定期的にドロップ (29.97fps) | 良い | NTSC方式での問題を回避 | 記録方法が複雑 | 最初から採用推奨 |
ノン ドロップフレームの使い分け
時間を正確に捉えることが求められる動画制作には、「ノン ドロップフレーム」という方式が役立ちます。ノン ドロップフレームとは、映像の時間表示において、実際の時間と完全に一致するように記録する方式です。一秒間に設定されたコマ数をすべて記録するため、時間の流れを正確に表現できます。
例えば、映画や販売促進用の映像、インターネットで公開する動画などは、時間の正確さが重要です。これらの作品では、ノン ドロップフレームを用いることで、意図した通りの時間で映像を表現できます。ノン ドロップフレームは、時間の流れを忠実に再現することが求められるあらゆる映像作品に最適です。
一方で、テレビ放送用の映像には、「ドロップフレーム」という方式が用いられます。ドロップフレームは、一秒間に設定されたコマ数の一部を意図的に記録しないことで、映像の時間表示と実際の時間を一致させる方式です。これは、テレビ放送の規格に合わせた処置です。そのため、テレビ放送用の映像を制作する際には、ドロップフレームを用いる必要があります。
ノン ドロップフレームで作成した映像をテレビ放送で使用する場合には、ドロップフレームへの変換作業が必要です。映像編集用の道具の中には、ノン ドロップフレームとドロップフレームを自動で変換する機能を持つものもあります。映像制作の目的と用途に合わせて、ノン ドロップフレームとドロップフレームを適切に使い分けることが重要です。そうすることで、意図したとおりに映像を表現し、視聴者に見てもらうことができます。
方式 | 説明 | 用途 | 変換 |
---|---|---|---|
ノン ドロップフレーム | 実際の時間と完全に一致するよう、全てのコマを記録する。時間の流れを正確に表現できる。 | 映画、販売促進用映像、インターネット動画など、時間の正確さが重要な映像。 | テレビ放送で使用する場合は、ドロップフレームへの変換が必要。 |
ドロップフレーム | 一部のコマを意図的に記録しないことで、映像の時間表示と実際の時間を一致させる。テレビ放送の規格に準拠。 | テレビ放送用の映像。 | ノン ドロップフレームからの変換が必要な場合あり。 |
まとめ
動画を編集する際に、時間をどのように扱うかは大切なことです。ノン ドロップフレームという方法は、時間を管理するやり方の一つで、一秒間に30枚の絵があると考えて時間を数えます。これは、時間を数えるのがとても分かりやすく簡単です。例えば、一分間の動画は1800枚の絵でできていると計算できます。
この方法は、時間の流れをそのまま表すため、編集作業が楽になります。絵の順番と時間がぴったり合うので、動画の一部を切り取ったり、繋げたりする作業が正確に行えます。また、動画の長さも簡単に計算できます。
しかし、ノン ドロップフレームには弱点もあります。テレビ放送で使われているNTSCという仕組みに合わないのです。NTSCは、一秒間に約29.97枚の絵を使う少し特殊な仕組みです。そのため、ノン ドロップフレームで作った動画をテレビで放送しようとすると、音と映像がずれるなどの問題が起こることがあります。
動画編集ソフトの多くは、ノン ドロップフレームと、NTSCに合うドロップフレームという二つの方法を用意しています。ドロップフレームは、NTSCに合わせて作られた少し複雑な時間管理の方法です。動画を作る目的によって、どちらの方法を使うか選ぶことが大切です。
例えば、インターネットで公開する動画であれば、ノン ドロップフレームが適しています。一方、テレビ放送用の動画を作る場合は、ドロップフレームを使う必要があります。動画の用途に合わせて適切な方法を選ぶことで、正確で質の高い動画を作ることができます。ノン ドロップフレームとドロップフレームの違いをよく理解し、上手に使い分けましょう。
項目 | ノン ドロップフレーム | ドロップフレーム |
---|---|---|
フレームレート | 30fps | 約29.97fps |
時間管理 | 簡単 | 複雑 |
編集作業 | 容易 | やや複雑 |
NTSCとの互換性 | なし | あり |
用途 | インターネット公開 | テレビ放送 |
メリット | 時間の流れをそのまま表すため、編集作業が楽 動画の長さを簡単に計算できる |
NTSCとの互換性があるため、テレビ放送に最適 |
デメリット | NTSCと互換性がないため、テレビ放送に不向き | 時間管理が複雑 |