
光の魔法:フォトリフラクティブ効果
光を当てることで物質の性質が変化する現象があります。これはまるで光が物質に魔法をかけるように、光によって物質の屈折率が変化する不思議な現象で、光屈折効果と呼ばれています。光屈折効果は特定の物質で起こる現象で、強誘電性酸化物やシレナイト化合物、化合物半導体、そして有機材料など、様々な物質で確認されています。
これらの物質に光を当てるとどうなるのでしょうか。まず、光が物質に当たると、物質内部の電子が光のエネルギーを吸収します。吸収されたエネルギーによって、電子はより高いエネルギー状態へと励起されます。励起された電子は自由に動き回り、物質内部を移動します。そして、最終的に電子の少ない場所に集まり、そこに電荷の偏りを作ります。
この電荷の偏りが、物質内部の電場を変化させます。そして、変化した電場が物質の屈折率に影響を与えるのです。つまり、光が当たった部分と当たっていない部分で屈折率に差が生じることになります。この屈折率の変化は、光が当たっている間だけ持続するのではなく、光を遮断した後も一定時間残ります。まるで物質が光を記憶しているかのようです。
この光屈折効果は様々な応用が期待されています。例えば、光を当てて情報を書き込み、光を遮断することで情報を保存する光メモリーへの応用が考えられます。また、位相共役鏡と呼ばれる特殊な鏡を作ることもできます。この鏡は、入射した光を元の光路に反射する性質があり、ゆがんだ画像を元に戻すなど、従来の鏡では不可能な光制御を実現できます。その他にも、光スイッチや光変調器など、光屈折効果を利用した様々な光学素子の開発が進められています。