色の恒常性:環境光と色の見え方の関係

写真について聞きたい
先生、「色順応」ってなんですか? 写真を編集するときによく聞く言葉なんですが、よく理解できていなくて…

写真研究家
なるほど。「色順応」とは、周りの光の色が変わっても、物の色を同じように見ようとする目の働きのことだよ。例えば、赤い光の下だと、本当は白い紙も赤っぽく見えるはずだけど、目はそれを白いと認識しようとするんだ。

写真について聞きたい
白い紙が赤っぽく見えるはずなのに、白く見えるようにしてくれるんですか?すごいですね!でも、どうしてそんなことができるんですか?

写真研究家
人間の目の中には、色を感じる細胞がいくつか種類があってね。赤い光の下では、赤色に敏感な細胞の働きを弱めることで、他の色の見え方を調整しているんだよ。だから、赤い光の下でも、物の色をいつもと同じように感じることができるんだ。
色順応とは。
「写真撮影」や「写真編集」で使う「色順応」という言葉について説明します。周りの光に色がついているとき、私たちの目の色を感じる細胞(L、M、Sという種類があります)は、それぞれ感度を調整して、昼間の太陽の下での色の見え方を保とうとします。例えば、赤い光の下では、Lという種類の細胞は感度を下げます。
色の恒常性とは

私たちの目は、周りの明るさが変わっても、物の色を同じように見ることができる素晴らしい能力を持っています。これを色の恒常性と言います。この能力のおかげで、私たちは普段、物の色を認識する際に、照明による影響を意識することはありません。例えば、晴れた日の屋外で赤いリンゴを見たとしましょう。太陽の光は白っぽく、リンゴに反射した光も白っぽい成分を含んでいます。しかし、私たちの目はリンゴを「赤い」と認識します。次に、同じリンゴを白熱灯のついた室内で見てみましょう。白熱灯の光はオレンジ色っぽく、リンゴに反射した光もオレンジ色がかって見えます。しかしそれでも、私たちの目はリンゴを「赤い」と認識するのです。
もし色の恒常性がなかったら、世界はどう見えるでしょうか? 夕焼け時、空が赤く染まると、白い紙も赤く見えてしまうでしょう。曇り空の下では、すべての物が青みがかって見えるはずです。屋内では、使っている照明の種類によって、物の色が全く違って見えてしまうでしょう。このような世界では、物の色を正しく認識することは非常に困難になり、日常生活に大きな支障が出てしまうでしょう。
では、私たちの目はどのようにして色の恒常性を実現しているのでしょうか? それは、脳が周囲の照明環境を自動的に判断し、その影響を差し引いて物の色を認識しているからです。例えば、白熱灯の光の下では、赤いリンゴはオレンジ色っぽく見えます。しかし、脳は照明がオレンジ色っぽいことを認識し、その分を差し引いて「赤い」と判断します。この複雑な処理のおかげで、私たちはどんな照明の下でも物の本来の色を認識することができるのです。色の恒常性は、私たちが周りの世界を理解し、快適に生活するために欠かせない、驚くべき能力と言えるでしょう。

錐状体と色の知覚

私たちの目は、色のついた世界を認識するために特別な細胞を使っています。それが錐状体と呼ばれる視細胞です。錐状体は、カメラでいうところのセンサーのような役割を果たし、光を受け取って信号に変換することで、私たちが色を感じることができるようにしてくれます。
この錐状体には、主に3つの種類があります。それぞれ赤色に反応しやすい錐状体、緑色に反応しやすい錐状体、そして青色に反応しやすい錐状体です。専門的には、これらをそれぞれL錐状体、M錐状体、S錐状体と呼びます。Lは長い波長、Mは中波長、Sは短い波長を意味しており、それぞれの錐状体が最も強く反応する光の波長に対応しています。
例えば、夕焼けの空が赤く見えるのは、太陽の光の中でも赤い光、つまり波長の長い光が多く私たちの目に届き、L錐状体を強く刺激するためです。同様に、青々とした草木は、中波長の光に強く反応するM錐状体を刺激することで緑色に見え、澄み切った空の青色は、短い波長の光に反応するS錐状体の働きによるものです。
これらの錐状体は、まるで3人の審査員のように、入ってきた光をそれぞれ得意な波長で評価し、その反応の強さを信号に変えて脳に送ります。脳は、3つの錐状体からの信号の組み合わせパターンを読み解くことで、最終的に私たちが見ているものの色を判断します。例えば、ある光に対してL錐状体とM錐状体が強く反応し、S錐状体が弱く反応した場合、脳はそれを黄色と認識します。このように、3種類の錐状体の連携プレーによって、私たちは実に多彩な色の世界を体験できるのです。
| 錐状体 | 専門用語 | 反応しやすい波長 | 反応しやすい色 | 例 |
|---|---|---|---|---|
| 赤色に反応しやすい錐状体 | L錐状体 | 長い波長 | 赤色 | 夕焼けの空 |
| 緑色に反応しやすい錐状体 | M錐状体 | 中波長 | 緑色 | 青々とした草木 |
| 青色に反応しやすい錐状体 | S錐状体 | 短い波長 | 青色 | 澄み切った空 |
色順応の仕組み

私たちの目は、周りの光に合わせて、物の色を正しく捉える素晴らしい力を持っています。これを色順応と言います。色順応は、色の恒常性という、照明が変わっても物の色を同じように認識できる能力を支える重要な仕組みです。
私たちの目には、赤、緑、青の光に反応する3種類の錐状体という細胞があります。これらの錐状体は、周囲の光の色に応じて、それぞれの感度を自動的に調整しています。例えば、赤い光で照らされた部屋にいると、赤い光に最も強く反応する錐状体の感度が下がります。これは、赤い光が常にその錐状体を刺激し続けるため、錐状体がその刺激に慣れてしまい、反応が鈍くなるからです。逆に、青い光で照らされた部屋では、青い光に最も強く反応する錐状体の感度が下がります。
このように、3種類の錐状体の感度が周囲の光の色に合わせて調整されることで、私たちは照明光の影響を受けずに、物の本来の色を認識できるのです。赤い照明の下では、白い紙は実際にはピンク色に見えます。しかし、赤い光に反応する錐状体の感度が下がっているため、ピンク色の刺激は弱まり、私たちは白い紙を白に近い色として認識できます。夕焼けで周りの景色がオレンジ色に染まっても、白い服がオレンジ色に見えることはありません。これも色順応のおかげです。
色順応は、無意識のうちに起こるため、私たちは普段その働きに気づくことはありません。しかし、この機能のおかげで、私たちは常に安定した色の世界を見ることができているのです。色順応は、私たちが視覚を通して世界を理解する上で、非常に重要な役割を果たしていると言えるでしょう。
| 色順応の仕組み | 詳細 |
|---|---|
| 錐状体の感度調整 | 周囲の光の色に応じて、赤、緑、青の光に反応する3種類の錐状体の感度が自動的に調整されます。例えば、赤い光が多い環境では、赤い光に反応する錐状体の感度が下がります。 |
| 色の恒常性 | 照明が変わっても物の色を同じように認識できる能力。色順応は色の恒常性を支える重要な仕組みです。 |
| 無意識の作用 | 色順応は無意識のうちに起こるため、私たちは普段その働きに気づくことはありません。 |
| 視覚における役割 | 色順応は、私たちが視覚を通して世界を理解する上で非常に重要な役割を果たしています。 |
色順応の例

私たちが普段見ている色は、周りの光に大きく左右されます。例えば、温かみのあるオレンジ色の光で照らされた部屋を考えてみてください。その部屋に白い紙を置くと、光の影響を受けて紙はオレンジ色に見えます。しかし、不思議なことに、私たちの目にはそれほどオレンジ色には見えていません。これは「色順応」という目の働きのおかげです。色順応とは、周囲の照明の色に目が慣れて、物の本当の色を認識する能力のことです。
夕焼けの空も、色順応の良い例です。空が赤く染まると、周りの景色も赤く照らされます。しかし、木々や建物が燃えるように赤く見えることはありませんよね?これも色順応のおかげです。赤くなった光に目が慣れることで、周りの景色の色を、夕焼け前とそれほど変わらないように認識できるのです。
色順応は、まるでカメラの自動露出調整のような働きをします。明るい場所では光の量を減らし、暗い場所では光の量を増やすことで、適切な明るさに調整します。同様に、色順応は、様々な照明条件下で、物の色を安定して認識できるように調整してくれるのです。もし色順応がなかったら、照明が変わるたびに物の色が大きく変化してしまい、世界がチカチカと変化して見えるでしょう。例えば、白熱灯の部屋から蛍光灯の部屋に移動すると、物の色が急激に変わってしまい、混乱してしまうでしょう。
色順応は、私たちの視覚が環境の変化にうまく適応するための、とても大切な機能です。この機能のおかげで、私たちは周りの世界の変化に惑わされず、物の色を正しく認識し、安定した視覚体験を得ることができるのです。まるで魔法のように、私たちの目には見えないところで、常に色順応が働いてくれているのです。
まとめ

私たちは、太陽の光の下でも、薄暗い室内でも、リンゴを赤いと認識することができます。これは、私たちの目が周囲の明るさに合わせて、色の感じ方を調整しているからです。この仕組みこそが、色順応と呼ばれるものです。
色順応は、カメラで例えると、明るさに合わせて自動的に絞りやシャッター速度を調整する機能に似ています。明るい場所では、目の中の光を感じる細胞、すなわち錐状体の感度が下がります。逆に、暗い場所では感度が上がります。この感度の調整によって、明るさが変わっても、物の色の見え方が大きく変わらないのです。
例えば、夕焼けで辺りがオレンジ色に染まっている時、白い紙を見るとうっすらとオレンジ色がかっているように見えるかもしれません。しかし、しばらくすると、白い紙は白く見えるようになります。これは、目がオレンジ色の光に順応し、オレンジ色の光の影響を差し引いて物の色を認識するようになったからです。
色順応には、順応と逆順応の二つの種類があります。明るい場所に移動したときに目が慣れるのが順応で、暗い場所に移動したときに目が慣れるのが逆順応です。順応は比較的早く起こりますが、逆順応には時間がかかります。暗闇に入ったときに、最初は何も見えなくても、徐々に周りのものが見えてくるのは、この逆順応のためです。
このように、色順応は、私たちが常に変化する光の環境の中で、物の色を安定して認識するために欠かせない機能です。この機能のおかげで、私たちは周りの世界をより鮮明に、そして豊かに感じ取ることができるのです。

