
写真の構図:目刺しを避けて魅力的に
写真の出来栄えを左右する要素の一つに構図があります。中でも人物写真を撮る際に注意したいのが「目刺し構図」です。これは、背景にある水平線や電線、建物の縁といった線が、被写体である人物の目に重なってしまうことを指します。ちょうど、魚の目に串を刺す様子に似ていることから、この名前で呼ばれています。
この構図の問題点は、見る人の視線が人物の目にではなく、背景の線に奪われてしまうことです。たとえば、美しい夕焼けを背景に人物を撮影したとします。しかし、水平線がちょうど人物の目に重なっていたら、見る人はまずその線に目が行き、人物の表情や雰囲気に目が行きにくくなります。せっかくの素敵な表情も、背景の線によって邪魔をされてしまうのです。人物の魅力を最大限に引き出すためには、この目刺し構図は避けるべきです。
では、どのように目刺し構図を回避すれば良いのでしょうか。方法はいくつかあります。まず、撮影前に背景をよく確認しましょう。人物の目の位置に線が入ってしまう場合は、少しカメラの位置を上下にずらしてみます。ほんの数センチ動かすだけでも、線の位置が変わり、目刺し構図を避けることができます。また、人物の位置を少しずらすのも効果的です。一歩前に出たり、少し横に動いてもらうだけで、背景との関係性が変わり、より良い構図になることがあります。
さらに、カメラの角度を変えるという方法もあります。少し斜めに構えることで、背景の線が人物の目と重なるのを防ぐことができます。
目刺し構図は、少しの工夫で簡単に防ぐことができるものです。撮影前に背景と人物の位置関係をよく確認し、必要であればカメラの位置や角度、人物の位置を調整することで、より自然で、人物の魅力が伝わる写真に仕上げることができます。人物撮影の際は、ぜひこの点に注意して、素敵な一枚を撮りましょう。