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技術

高圧縮を実現するMR符号化技術

「エムアール符号化」は、紙に書いた文字や絵を、電気信号に変えて送る機械である「ファクシミリ」で使われている技術です。画像の情報を、少ないデータ量で送るために使われています。「エムアール」は「修正リード」の略で、正式には「修正リード符号化」といいます。世界中で共通して使えるように、国際的な規格にもなっています。 この技術は、日本で開発された「リード符号化」を改良したものです。同じような情報が何度も繰り返されていると、データの量は増えてしまいます。これを「冗長性(じょうちょうせい)」といいます。エムアール符号化では、この冗長性を減らすことで、より少ないデータ量で画像を送ることができるように工夫されています。 では、どのようにしてデータ量を減らしているのでしょうか。ファクシミリで送る画像は、白と黒の小さな点の集まりでできています。この点を「画素(がそ)」といいます。エムアール符号化では、前の行と次の行で、画素がどのように変化したかを記録します。例えば、ある行と次の行でほとんど変化がない場合は、変化した画素の位置の情報だけを記録します。 一枚の絵を、たくさんの横線で区切られた領域に分けて、それぞれの領域を記録していく様子を想像してみてください。それぞれの領域の中で、前の行と同じ色の部分は記録する必要がありません。変化した部分だけを記録すればよいのです。多くの場合、前の行と次の行では、色が大きく変わる部分は少ないでしょう。つまり、記録する情報が少なくて済むということです。このように、エムアール符号化では、画像データの中に隠れている、行と行の間の強い結びつきを利用して、上手にデータ量を減らしているのです。
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JBIG:高圧縮の白黒画像フォーマット

黒と白の二値画像を効果的に小さくする技術、それがJBIGです。正式には、国際電気通信連合(ITU)と国際標準化機構(ISO)という、世界の通信と標準化を担う二つの組織が共同で定めた、ITU-T勧告T.82およびISO/IEC 11544を指します。 JBIGの強みは、二つの優れた圧縮技術を組み合わせている点にあります。一つは、画像の色の並び方の傾向を予測するマルコフモデル符号化。もう一つは、出現頻度の高い色に短い記号を割り当てる算術符号化です。これらの技術を組み合わせることで、驚くほど高い圧縮率を実現しています。 特に、文字画像の圧縮においては、従来のG4ファクスで使われていたMMR符号化方式よりも約3割も高い圧縮率を達成しています。これは、書類の電子化や保管、送受信にかかる時間と費用を大幅に削減できることを意味します。 JBIGという名称は、「二値画像専門家合同グループ(Joint Bi-level Image experts Group)」の頭文字からきています。この名前が示す通り、世界中の専門家が集結して開発された、信頼性の高い技術規格です。現在、様々な分野で活用されており、今後ますます重要な役割を担っていくことでしょう。JBIGは、限られた通信回線や記憶容量を有効に活用するための、まさに現代社会に欠かせない技術と言えるでしょう。
その他

進化した電子文書通信:G4ファクシミリ

今までの書類のやり取りを一新する技術として、G4ファクシミリが登場しました。これは、従来のG3ファクシミリを進化させた、より高性能な電子書類の送受信方法です。大きな違いは、通信回線にあります。G3ファクシミリがアナログ回線を使っていたのに対し、G4ファクシミリはデジタル回線であるISDNを採用しています。この技術革新により、書類の送受信速度が格段に向上し、画質も大きく改善されました。 従来のファクシミリでは、書類の画像情報をアナログ信号に変換してから送受信していました。この変換作業が、画質の劣化を招く原因となっていました。しかし、G4ファクシミリでは、情報をデジタルのまま送受信するため、変換による画質の低下を防ぎ、鮮明な画像を再現できます。まるで原本を見ているかのような、クリアな画質で書類を受け取ることが可能になりました。 さらに、デジタルデータは圧縮する技術の効率が高いため、G3ファクシミリに比べてデータ量を大幅に減らすことができます。これは、通信時間の短縮に直結します。例えば、大量の書類を送る場合でも、G4ファクシミリなら短い時間で送受信が完了します。業務効率の向上に大きく貢献する技術と言えるでしょう。 このように、G4ファクシミリは、高速化と高画質化を実現した、まさに次世代の書類送受信方法として、大きな期待を集めました。速く、綺麗に書類を送りたいというニーズに応える、画期的な技術だったのです。
その他

G3ファクシミリ:その仕組みと利点

現在、広く使われている文書送受信機の種類の中で、最も普及しているのが「第三群文書送受信機」です。これは、国際電気通信連合という世界的な組織が定めた「勧告T.4」と「勧告T.30」という二つの基準に基づいて作られています。この基準のおかげで、世界中どこの第三群文書送受信機でも、互いに文書を送受信することができます。 第三群文書送受信機が登場する以前にも、「第一群文書送受信機」や「第二群文書送受信機」といった種類がありました。しかし、第三群はそれらと比べて通信速度が格段に速く、送受信される画像もより鮮明になりました。そのため、第三群文書送受信機が主流となりました。 第三群文書送受信機は、どのようにして速く、鮮明な画像を送受信できるのでしょうか?その秘密は、読み取った画像を数値データに変換し、そのデータの量を小さくまとめる技術にあります。データの量が小さければ小さいほど、送受信にかかる時間が短縮されます。また、送受信の際には、変換器を使って電話線で送れる信号に変換します。つまり、特別な回線を用意しなくても、普段使っている電話回線を使って文書を送受信できるのです。 世界共通の基準で作られているため、異なる会社が作った第三群文書送受信機同士でも問題なく通信できます。これは、国際的な文書のやり取りをする上で大きな利点となっています。まさに、第三群文書送受信機は、現代社会の情報伝達に欠かせない存在と言えるでしょう。