
高圧縮を実現するMR符号化技術
「エムアール符号化」は、紙に書いた文字や絵を、電気信号に変えて送る機械である「ファクシミリ」で使われている技術です。画像の情報を、少ないデータ量で送るために使われています。「エムアール」は「修正リード」の略で、正式には「修正リード符号化」といいます。世界中で共通して使えるように、国際的な規格にもなっています。
この技術は、日本で開発された「リード符号化」を改良したものです。同じような情報が何度も繰り返されていると、データの量は増えてしまいます。これを「冗長性(じょうちょうせい)」といいます。エムアール符号化では、この冗長性を減らすことで、より少ないデータ量で画像を送ることができるように工夫されています。
では、どのようにしてデータ量を減らしているのでしょうか。ファクシミリで送る画像は、白と黒の小さな点の集まりでできています。この点を「画素(がそ)」といいます。エムアール符号化では、前の行と次の行で、画素がどのように変化したかを記録します。例えば、ある行と次の行でほとんど変化がない場合は、変化した画素の位置の情報だけを記録します。
一枚の絵を、たくさんの横線で区切られた領域に分けて、それぞれの領域を記録していく様子を想像してみてください。それぞれの領域の中で、前の行と同じ色の部分は記録する必要がありません。変化した部分だけを記録すればよいのです。多くの場合、前の行と次の行では、色が大きく変わる部分は少ないでしょう。つまり、記録する情報が少なくて済むということです。このように、エムアール符号化では、画像データの中に隠れている、行と行の間の強い結びつきを利用して、上手にデータ量を減らしているのです。