
インクジェットプリンターの心臓部:記録ヘッド
記録ヘッドは、インクを噴き付けて紙に模様を描く部品で、インクジェット式印刷機のような機械には欠かせないものです。まるで絵筆のように、目には見えない細かいインクの粒を紙の上に吹き付け、写真や文字などを形作ります。印刷機全体で見れば、言わば心臓部にあたる重要な部品と言えるでしょう。
記録ヘッドの働きは、大きく分けて二つあります。一つ目は、計算機から送られてきた模様を描くための指示を理解し、インクを噴き付ける場所や量を細かく決めることです。二つ目は、その指示通りに、正確な位置にインクを吹き付けることです。この時、インクの粒の大きさを揃えたり、吹き付けるタイミングを調節したりと、非常に細かい制御を行っています。
記録ヘッドが精密にインクを操ることで、写真の鮮やかさや文字のくっきりとした輪郭が生まれます。また、一度に多くのインクを吹き付けられる記録ヘッドは、印刷の速さを高める役割も担います。さらに、耐久性の高い記録ヘッドであれば、印刷機の寿命を延ばすことにも繋がります。つまり、記録ヘッドの性能が印刷機の性能を左右すると言っても、言い過ぎではありません。
高性能な記録ヘッドは、よりきめ細かなインクの粒を吹き付けることができます。例えば、髪の毛よりも細い管から、1秒間に何万回もインクを噴き付けるものもあります。このような技術の進歩により、近年では写真と見紛うばかりの美しい印刷物や、極小の文字まで鮮明に印刷することが可能になりました。まさに、記録ヘッドは印刷技術の要であり、日々の暮らしを彩る印刷物を支える縁の下の力持ちと言えるでしょう。