
写真の限界に挑戦!飽和記録濃度とは?
色の世界は奥深く、写真においても色の濃淡は表現の要となります。しかし、私たちが普段目にしている色の世界も、写真の世界も、色の濃さには限界があるのです。
白い紙にインクを垂らしてみましょう。インクの色が紙に広がり、紙の色を染めていきます。さらにインクを重ねていくと、色はどんどん濃くなっていきます。しかし、インクをどれだけ重ねても、ある一定の色以上には濃くなりません。紙がインクで埋め尽くされてしまい、それ以上インクの色を反映できなくなるからです。
写真は、このインクと紙の関係によく似ています。カメラのレンズを通して光が入り、フィルムやセンサーに像が焼き付けられます。光が強ければ強いほど、記録される色は濃くなります。しかし、フィルムやセンサーが受け止められる光の量には限界があります。ちょうどインクで紙が埋め尽くされるように、光でフィルムやセンサーが埋め尽くされてしまうのです。この限界値を『飽和記録濃度』と呼びます。
飽和記録濃度が高いということは、より濃い色まで記録できるということを意味します。例えば、真っ黒な闇夜に浮かぶ提灯の柔らかな光も、燃え盛る炎の力強い光も、それぞれの色の濃淡を忠実に再現することができます。風景写真では、空の青色の鮮やかさや、夕焼けの赤色の深み、木々の緑色の濃淡を豊かに表現することができます。一方、飽和記録濃度が低いと、色の濃淡を表現する幅が狭くなります。濃い色は白っぽく薄く写り、微妙な色の違いを表現することが難しくなります。
このように、飽和記録濃度は写真の表現力を大きく左右する重要な要素です。カメラを選ぶ際には、この飽和記録濃度にも注目することで、より豊かな色彩表現を楽しむことができるでしょう。