
かん状体:薄暗い世界の主役
私たちは、世界をどのように見ているのでしょうか。ものが見える仕組みは、カメラとよく似ています。まず、眼球という名のカメラに光が入り、レンズを通過することで屈折し、眼球の奥にある網膜と呼ばれる薄い膜に像を結びます。この網膜は、カメラのフィルムのような役割を果たし、光の情報を受け取る大切な場所です。
網膜には、光を感じる特別な細胞、視細胞がぎっしりと並んでいます。視細胞には、主に二つの種類があります。一つは錐状体と呼ばれる細胞で、明るい場所で機能し、色を見分ける役割を担っています。赤、青、緑の光にそれぞれ反応する三種類の錐状体があり、これらの組み合わせによって、私たちはカラフルな世界を認識できるのです。もう一つはかん状体と呼ばれる細胞です。かん状体は、暗い場所で力を発揮し、明暗を識別するのに役立ちます。夜空の星を見ることができるのは、このかん状体のおかげです。
これらの視細胞は、光を受け取ると、光を電気信号に変換します。変換された電気信号は、視神経というケーブルを通って脳に送られます。脳は、受け取った電気信号を処理し、私たちが見ているものを解釈します。つまり、視細胞たちが脳に送る信号こそ、私たちが目にする光景の源なのです。例えば、赤いリンゴを見ると、赤い光に反応する錐状体が刺激され、その情報が脳に伝わることで「赤いリンゴ」だと認識するのです。このように、光と視細胞、そして脳の連携によって、私たちは周りの世界を認識し、理解しているのです。