
写真画質に影響する暗減衰とは?
光を受けていない時でも、写真の感光体の表面電位がゆっくりと下がっていく現象を暗減衰といいます。この暗減衰を詳しく見ていきましょう。写真は、光を受けて感光体の表面電位が変化することで写ります。この電位の変化を信号として画像が作られるのです。ところが、光が全く当たらない暗い場所でも、感光体の表面電位は一定ではなく、少しずつ減っていきます。これは一体なぜでしょうか。
感光体の中には、電気を運ぶ小さな粒がたくさんあります。これらの粒は、光が当たると活発に動き回り、電位の変化を生み出します。しかし、光が当たらなくても、感光体内部の温度や、元々持っているエネルギーによって、一部の粒が動き回ることがあります。これが暗減衰の主な原因です。熱せられたり、もともとエネルギーの高い粒が動くと、感光体の表面電荷を中和してしまい、電位が下がっていくのです。これは、静電気を帯びた物が、時間とともに電気を失っていく様子とよく似ています。
暗減衰の大きさは、感光体の材料の種類や、周りの温度、湿度の影響を受けます。例えば、感光体が特定の物質でできていると暗減衰が大きくなりやすいといった具合です。また、温度が高いほど、粒の動きが活発になるので暗減衰も大きくなります。湿度も同様に、高いほど暗減衰が大きくなる傾向があります。さらに、感光体自身の電位が高いほど、暗減衰の影響も大きくなります。つまり、感光体にたくさんの電気が溜まっている状態だと、暗減衰によって電位がより大きく下がってしまうのです。これは、高いところから物が落ちるときの衝撃が大きいことと似ています。このように、暗減衰は様々な要因が複雑に絡み合って起こる現象なのです。