
波面:写真の奥深さを知る
水面に石を投げ込むと、円形に波紋が広がります。この様子を思い浮かべてみてください。波は水面を伝わっていく振動であり、ある瞬間の水面の高さを線で結ぶと、波の山や谷の形が見えてきます。この山や谷といった同じ高さの点を全て繋いでできる面が、波面と呼ばれるものです。
波面は、波の伝わり方を視覚的に理解するのに役立ちます。池に石を投げ込んだ場合、波面は中心から外側に向かって広がる同心円状になります。これは、波が石の落ちた場所から均等に広がっていく様子を表しています。波面の形は、波源の形や周りの環境によって変化します。例えば、細長い棒で水面を揺らすと、波面は棒に沿って直線状に広がります。
光もまた波の一種であり、波としての性質を持っています。光の場合、波面は光の強さが同じ点を繋いだ面ではなく、光の波の山や谷といった同じ状態、つまり位相の点を繋いだ面として定義されます。写真撮影では、レンズを通して光を集めて像を作りますが、この光も波として振る舞います。レンズを通る光は、レンズの形状によって波面の形が変化します。この波面の変化が、写真の焦点やボケ具合、写真の鮮明さに大きく影響します。
レンズを通った光は、波面が変化することで像を結びます。レンズの中心に近い部分を通る光と、レンズの端を通る光では、進む距離が異なるため、波の山と谷の位置関係がずれていきます。このずれを位相差と呼びます。レンズは、光を集めて位相を揃え、像を鮮明に結ぶ役割を果たします。
波面の変化を理解することは、写真撮影の仕組みを理解する上で非常に重要です。被写体の鮮明さや背景のぼけ具合は、レンズを通る光の波面がどのように変化するかに直接関係しています。より良い写真を撮るためには、光を波として捉え、その波面がレンズによってどのように変化するかを理解することが大切です。