
絵コンテ:撮影を成功させる設計図
絵コンテとは、写真撮影の設計図のようなものです。建物を建てる前に設計図を作るように、写真撮影、特に物語性のある写真や、広告写真、商品写真などを撮る前に、撮影の計画を絵で描いておくのが絵コンテです。
映画やドラマ、アニメーションの世界では、絵コンテは欠かせないものですが、写真の世界でも絵コンテは撮影をスムーズに進めるための強力な道具となります。一枚一枚の写真がどのように繋がり、全体としてどのような効果を生み出すのかを事前に視覚化することで、より完成度の高い作品を作り上げることができます。
絵コンテには、それぞれの場面で撮りたい写真の構図や被写体、カメラの位置、照明の当て方などを絵で描き込みます。例えば、人物を撮る場合、全身を写すのか、顔のアップを写すのか、どの角度から撮るのか、背景はどうするのかなどを具体的に描いていきます。また、光の方向や強さも書き込むことで、写真の雰囲気を事前に掴むことができます。
絵コンテを作成することで、頭の中のイメージを具体的な形にすることができます。漠然としたイメージを絵にすることで、自分自身の中でイメージが整理され、より明確なビジョンを持って撮影に臨むことができます。また、複数人で撮影を行う場合、絵コンテはチーム全体でイメージを共有するための共通言語となります。事前に絵コンテを見ながら綿密な打ち合わせをすることで、撮影現場での意思疎通がスムーズになり、作業効率も上がります。
さらに、絵コンテは、依頼主とのイメージの食い違いを防ぐためにも有効です。完成形を事前に絵で見せることで、依頼主の意図と撮影者の解釈のズレを修正し、双方にとって納得のいく作品作りが可能となります。絵コンテは、撮影前の準備段階で少し手間がかかりますが、最終的には時間と労力の節約につながり、より質の高い写真撮影を実現するための大切なツールと言えるでしょう。