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技術

写真の基本:走査線の秘密

写真は、現実の景色を平面の絵として写し取る技術です。普段私たちが見る写真は、なめらかに色が変化しているように見えますが、実はとても小さな点の集まりでできています。デジタル式の撮影機ではこれらの点を画素と呼び、フィルム式の撮影機では銀色の粒でできた結晶がこれに当たります。そして、これらの小さな点一つ一つに、明るさや色の情報が記録されることで、一枚の写真が出来上がります。まるで、点描のように、数え切れないほどの点が集まって絵を作り上げているのです。 この数え切れないほどの点を記録する時に大切なのが「走査」という技術です。走査とは、被写体を細かい部分に分けて、順番に明るさや色を読み取っていく作業のことです。デジタル式の撮影機では、画素が縦横に規則正しく並んでおり、この画素一つ一つに光が当たることで電気信号に変換されます。この電気信号の強弱によって、それぞれの画素の明るさや色が決まります。まるで、縦横に並んだ升目に、一つ一つ色を塗っていくような作業です。 フィルム式の撮影機では、フィルムに塗られた銀色の粒に光が当たると化学変化を起こします。この化学変化の度合いによって、現像した時にそれぞれの粒の黒さが決まり、明るさや色が表現されます。まるで、光に反応する特別な絵の具で描いているかのようです。 こうして、走査によって記録された無数の点の情報が、写真として見える形になるのです。また、写真の出来栄えには、光の量も大きく影響します。光が十分に当たると、明るく鮮やかな写真になり、光が足りない場合は暗くぼやけた写真になります。光は写真の命と言えるでしょう。さらに、被写体までの距離やレンズの種類によっても、写真の写り方が変わってきます。近くにあるものは大きく写り、遠くにあるものは小さく写ります。これらの要素が組み合わさることで、一枚の写真が完成するのです。