
屋内ロケ撮影の基礎知識
映画やドラマを作るには、大きく分けて二つの方法があります。一つは、撮影所の中に作られた部屋や風景を使う方法です。撮影所の中に、物語が展開される場所を人工的に作り、そこで撮影することを「セット撮影」といいます。もう一つは、撮影所から出て、現実の世界で撮影する方法です。これを「ロケ撮影」といいます。ロケ撮影には、屋外でするものと屋内でするものがあり、屋内でするものを「屋内ロケ」といいます。
屋内ロケとは、雨や風などの天候に左右されないよう、貸しスタジオや、撮影の許可を得たお店や事務所、一般の家庭といった建物の中で行う撮影のことです。屋内ロケでは、家庭の居間や台所、職場の事務室、病院の診察室、お店の店内など、物語の舞台となる様々な場所が撮影現場になります。俳優たちは、これらの場所で決められた動作や言葉を使い、物語に命を吹き入れます。
撮影班の人たちは、照明の明るさや色、カメラの位置やレンズの種類などを調整し、より自然で、見ている人が物語の世界に入り込めるような映像を作り出そうと工夫を重ねます。例えば、窓から差し込む光を調整して、登場人物の心情を表したり、カメラを少し斜めに傾けて、不安定な雰囲気を演出したりします。また、家具や小物の配置にもこだわり、登場人物の性格や生活感までも表現します。このように、屋内ロケでは、様々な技術や工夫を凝らすことで、物語をより深く、より豊かに表現することができるのです。