
摩擦帯電:写真の基本原理
異なる種類の物質をこすり合わせると、電気が生まれることがあります。これが摩擦帯電と呼ばれる現象です。冬の乾燥した日に、セーターなどを脱ぐ時にパチパチという音と共に、体に静電気がたまって髪の毛が逆立つ経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。これも摩擦帯電によるものです。
物質の中には、電気を帯びやすいものと帯びにくいものがあります。物質を構成する原子の中には、電気の元となる電子が存在します。普段はプラスの電気とマイナスの電気が釣り合っていますが、異なる物質をこすり合わせると、電子が一方の物質からもう一方の物質へと移動します。
この電子の移動によって、電子を失った側の物質はプラスの電気を帯び、電子を受け取った側の物質はマイナスの電気を帯びます。プラスとマイナスの電気が偏ることで静電気が発生するのです。静電気は、帯電した物質同士が引き合ったり、反発しあったりする力として現れます。
摩擦帯電は、私たちの日常生活でよく見られる現象です。例えば、下敷きで髪の毛をこすると、髪の毛が下敷きに引き寄せられます。これは、下敷きと髪の毛の間で摩擦帯電が起こり、静電気が発生したためです。また、ドアノブに触れた瞬間にビリッと感じるのも、体とドアノブの間で摩擦帯電が起こった結果です。
摩擦帯電は、写真技術にも応用されています。特に、電子写真方式の複写機やレーザープリンターでは、摩擦帯電を利用して静電気を帯びた像を作り、トナーを転写することで、文字や画像を紙に印刷しています。このように、摩擦帯電は私たちの身の回りで様々な場面で活躍しているのです。