
写真に滑らかな階調を!多値ディザ処理の秘密
写真の色の濃淡を滑らかに表現する技術に、多値ディザ処理というものがあります。パソコンなどの機器で絵を表示する時は、色の濃淡を段階的に表現しています。例えば、白黒写真であれば、一番簡単な方法は白と黒の二段階で表現することです。しかし、二段階だけでは色の変化が滑らかでなく、絵が荒く見えてしまいます。そこで、少ない段階でも滑らかに見えるようにする工夫が必要になります。その工夫の一つが多値ディザ処理です。
新聞の印刷などでも使われているディザ処理は、少ない色の段階で、本来の色数を増やしたように見せる技術です。従来は、白黒の二段階で表現することが多かったのですが、多値ディザ処理では、三段階から十六段階程度の多段階を用いることで、より滑らかで自然な色の変化を表現できます。段階が少ないのに、どうして滑らかに見えるのでしょうか?これは、人の目の錯覚を利用しているからです。
例えば、白、灰色、黒の三段階で表現する場合を考えてみましょう。灰色の点を白と黒の点と適切に混ぜて配置することで、白と黒の間の色、薄い灰色や濃い灰色などを表現することができます。白と黒の点の割合を調整することで、様々な濃さの灰色を作り出すことができるのです。例えば、白の点が多ければ薄い灰色に、黒の点が多ければ濃い灰色になります。このように、少ない色数でも、点の配置を工夫することで様々な色を表現できるのです。点描画法を想像すると分かりやすいかもしれません。点描画法では、様々な色の点をキャンバスに置いていくことで絵を描きますが、近くで見るとただの点の集まりなのに、遠くから見ると一つの絵として認識できます。これと同じように、多値ディザ処理は限られた色の段階でも、人の目の錯覚を利用して豊かな色の変化を表現できる技術なのです。