変換符号化

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技術

変換符号化:写真のクオリティを保つ魔法

写真のデータは、そのままではとても大きなサイズになってしまいます。そのため、データを小さくする工夫が色々と行われています。その一つが、変換符号化と呼ばれる手法です。これは、写真のような視覚情報を、少ないデータ量で表現する方法です。 写真をよく見てみると、色の変化がゆるやかな部分と、急激に変化する部分があります。例えば、空のように広い部分は色がほとんど変わりませんが、建物の輪郭や木の枝などは色が急に変化します。変換符号化は、このような色の変化の緩やかさの違いを利用して、データの量を減らす技術です。 具体的には、写真の中の隣り合った場所の色情報をまとめて、空間周波数という別の情報に変換します。これは、写真を様々な大きさの模様が重なり合ったものとして捉え直すようなものです。大きな模様は、写真の全体的な明るさや色合いのようなゆるやかな変化を表し、小さな模様は、輪郭や細部のような急な変化を表します。 空間周波数に変換することで、色の変化がゆるやかな部分は少ない情報で表現できるようになります。例えば、空の部分は大きな模様だけで表現できるので、小さな模様の情報はほとんど必要ありません。このように、人間の目にはあまり影響を与えない細かい変化の情報を取り除くことで、データの量を大幅に減らすことができます。 変換符号化は、写真だけでなく、動画や音声など、様々なデータの圧縮に使われています。これによって、データを効率よく保存したり、速く送ったりすることが可能になり、私たちの生活を豊かにしています。
保存

写真データのロスレス圧縮:劣化ゼロで保存

影絵のように情報の少ない白黒画像や、医療現場で使われるレントゲン写真、緻密な設計図のようなコンピュータ画像など、一点の狂いも許されない大切な画像を扱う際には、ロスレス符号化が欠かせません。ロスレス符号化とは、画像の情報を詰め込む際に、元々の画像情報を完全に保ったまま、ファイルの大きさを小さくする方法です。小さくしたファイルを後で広げれば、元々の画像と全く同じ状態に戻すことができます。まるで折り紙のように、丁寧に折りたたんで小さくして、また広げれば元通りになる様子を想像してみてください。 このロスレス符号化は、「可逆符号化」とも呼ばれています。「可逆」とは、元に戻せるという意味です。一方で、画像を小さくする際に多少の情報が失われてしまう「非可逆圧縮」、つまり「ロッシー符号化」と呼ばれる方法もあります。ロッシー符号化は、音楽ファイルなどでよく使われています。音楽ファイルの場合、多少の音質の違いは人間の耳では気づきにくいからです。しかし、医療画像で少しでも情報が失われてしまうと、診断に影響が出かねません。ですから、正確さが求められる画像にはロスレス符号化が不可欠なのです。 ロスレス符号化は、ファイルの大きさはロッシー符号化ほど小さくはなりませんが、画質は全く変わりません。写真編集の作業中に、編集途中の画像を保存しておく際にもロスレス符号化が役立ちます。高画質のままファイルの大きさを抑えられるため、沢山の画像ファイルを扱う写真家や絵を描く人など、画質にこだわる専門家にとって、ロスレス符号化は頼りになる技術と言えるでしょう。