
光ディスク製造の要、スタンパー
音楽を聴いたり、映画を見たりする時に使う、円盤型の入れ物。皆さんはよくご存じでしょう。中には、輝く面を持つものもありますね。こういった入れ物の中には、音楽や映像の情報がたくさん詰まっています。今ではすっかりお馴染みとなったこれらの入れ物は、一体どうやって作られているのでしょうか?実は、大量生産の鍵を握る「型」があるのです。この型は「スタンパー」と呼ばれ、なくてはならない大切な役割を担っています。
スタンパーは、光ディスクを作るための、いわば「原型」です。音楽や映像の情報は、ミクロン単位の小さな溝として記録されています。この溝を正確に複製するために、スタンパーは非常に精密に作られています。まず、元となる原盤を作ります。原盤には、レーザー光線を使って、音楽や映像の情報が焼き付けられています。次に、この原盤から、電気の力を利用して金属製のスタンパーを作ります。このスタンパーは、原盤の溝の形を反転させた形をしています。
そして、このスタンパーを使って、光ディスクを大量生産します。 ポリカーボネートと呼ばれる透明な樹脂を溶かし、スタンパーに流し込みます。冷えて固まると、スタンパーの溝の形が反転して転写され、光ディスクが出来上がります。この時、スタンパーの溝は凸型になっていますので、光ディスクには凹型の溝が刻まれることになります。最後に、光を反射する薄い金属の膜を付け、保護膜で覆って完成です。こうして、私たちが普段使っている光ディスクが生まれます。
スタンパーの精度は、光ディスクの品質を左右する重要な要素です。溝の幅や深さが少しでもずれると、音飛びや映像の乱れが生じてしまいます。そのため、スタンパーを作る際には、最新の技術と厳しい検査が行われています。また、一つのスタンパーから何枚もの光ディスクを複製できるため、大量生産を可能にする点でも、スタンパーは大きな役割を果たしています。普段何気なく手にしている光ディスクですが、実は、このような精密な技術によって作られているのです。