像面湾曲

記事数:(2)

技術

ポストオブジェクティブ走査系の魅力

ポストオブジェクティブ走査系は、光を巧みに操り、像面上に絵を描くように画像を作り出す仕組みです。まず、光源から放たれた光は、コリメータレンズを通過します。このレンズは、様々な方向に広がる光を平行な光線へと変換する役割を担っています。まるで、バラバラに進む光線を整列させるかのように、光を一つの方向に揃えます。次に、集光レンズが登場します。このレンズは、平行になった光を集めて一点に集中させる働きをします。虫眼鏡で太陽光を集めて黒い紙を焦がすように、光を小さな点に集めることで強い光を作り出します。そして、この集められた光が光偏向器へと送られます。光偏向器は、鏡のように光を反射させることで、光の進む方向を変えます。この鏡の角度を細かく調整することで、光の進む方向を自由自在に操ることが可能です。光偏向器は、一点に集まった光を像面全体に走査し、まるで筆を走らせるように画像を描き出します。さらに、光偏向器の鏡の表面には曲率が付けられています。この曲率は、像面に投影される画像の歪みを補正する重要な役割を果たします。ちょうど、レンズの歪みを補正するように、像面の湾曲をなくし、より鮮明で歪みのない画像を作り出します。このように、光源から出た光は、コリメータレンズ、集光レンズ、そして光偏向器という複数の部品を経由することで、最終的に像面上に鮮明な画像として投影されます。ポストオブジェクティブ走査系は、これらの部品を精密に制御することで、高品質な画像を作り出す、緻密で高度な技術なのです。
レンズ

像面湾曲:写真の歪みを理解する

写真の世界では、「収差」と呼ばれる現象が存在します。これは、レンズを通った光が理想的な形で結像せず、画像に歪みが生じる現象のことを指します。様々な収差の種類の中でも、「像面湾曲」は特に厄介な問題を引き起こすことがあります。 本来、平らな被写体を撮影する場合、その像も平らな面に投影されるはずです。しかし、像面湾曲が起こると、像を結ぶ面が湾曲してしまいます。分かりやすい例を挙げると、建物の壁全体を撮影した際に、中央部分は鮮明に写っているにも関わらず、周辺部分がぼやけてしまうという現象が起こります。これは、レンズの中心部と周辺部では光の屈折する角度が異なることが原因です。中心部を通る光と周辺部を通る光とでは、像を結ぶ位置にずれが生じてしまうのです。 この像面湾曲は、風景写真や建築写真といった、平面の被写体を画面いっぱいに捉えたい場合に特に問題となります。画面全体にピントを合わせたクリアな写真を撮りたいにもかかわらず、像面湾曲のために中心部と周辺部でピントの合った位置がずれてしまい、結果として一部分がぼやけてしまうからです。 像面湾曲の程度は、レンズの設計によって大きく左右されます。高性能なレンズは、この像面湾曲を抑えるための工夫が凝らされており、画面全体にピントの合ったクリアな画像を生成することができます。逆に、安価なレンズや古いレンズでは像面湾曲が強く、画像の周辺部がぼやけやすい傾向があります。そのため、像面湾曲を理解し、レンズを選ぶ際に考慮することは、高画質な写真撮影において非常に重要です。