倍率色収差

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レンズ

写真編集のいろは:色収差補正

色のずれ、いわゆる色収差とは、写真撮影においてレンズを通した光が像を結ぶ際に、色の成分ごとに焦点の位置が微妙にずれてしまう現象のことです。光は様々な色の波長が組み合わさってできており、レンズを通る際にそれぞれの波長が異なる角度で屈折します。虹ができる仕組みとよく似ています。プリズムに光を通すと七色に分かれて見えるように、カメラのレンズを通った光も波長によって屈折の度合いが異なるのです。波長の短い青い光はより大きく屈折し、波長の長い赤い光は比較的小さな屈折率となります。 理想的には、全ての色の光が一点に集まって像を結ぶことが望ましいのですが、色収差のためにそれぞれの色の光が異なる位置に像を結びます。これが写真において色のずれとして現れ、輪郭部分に色がにじんだり、画像がぼやける原因となるのです。まるで絵の具を水で薄めたように、本来はくっきりとした線で描かれるべき輪郭が、色のついたもやがかかったようにぼやけてしまうのです。 この色収差は、レンズの材料である硝子や合成樹脂の性質に由来します。これらの物質は、光の波長によって屈折率が変化するという特性を持っており、これが色収差の主な原因です。特に明暗差の大きい被写体、例えば、明るい空を背景にした木の枝や、電灯の縁など、コントラストが強い部分で色収差が目立ちやすいです。このような状況では、輪郭部分に紫色の縁取りや緑色の縁取りが生じることがあります。これらの色のずれは、写真の鮮明さを損ない、時には意図しない雰囲気を作り出してしまうこともあります。そのため、写真撮影や編集の際には、この色収差への理解と適切な対処が必要となります。