
バミリ:舞台と映像の縁の下の力持ち
「バミリ」とは、舞台や映画、テレビなどの制作現場で、出演者やスタッフが迷わず正しい位置に立てるよう、床や壁、柱などに貼られた目印のことです。色のついたテープがよく使われますが、場所や状況によってはチョークで印をつけることもあります。この目印があることで、役者さんは自分の立ち位置や動きを正確に把握でき、照明さんや音声さんは機材の配置場所をすぐに確認できます。小道具係の人も、どこに何を置くべきか一目瞭然です。
「バミリ」という言葉の由来は、「場を見る」という言葉からきています。もともとは、演出家さんが舞台全体の様子を見ながら、役者さんの立ち位置や小道具の配置、照明の位置などを綿密に計画し、決定する作業そのものを指していました。演出家さんは、まるで全体を見渡す鷹のように、舞台全体を把握し、最適な配置を考え抜きます。一つ一つの位置が作品全体の雰囲気や流れに大きく影響するため、妥協は許されません。
この入念な「場を見る」作業を経て、実際に床や壁に目印としてテープが貼られます。今では、この目印そのものを「バミリ」と呼ぶようになりました。まるで宝探しの地図に記された印のように、バミリは関係者にとって重要な道しるべとなります。
バミリは、一見地味な存在ですが、舞台や映像作品をスムーズに進める上で欠かせない存在です。バミリがあるおかげで、リハーサルや本番を効率的に行うことができ、作品全体の完成度を高めることができます。いわば、縁の下の力持ち、作品を陰で支える重要な要素と言えるでしょう。華やかな舞台や画面の裏側には、バミリという小さな目印が大きな役割を果たしているのです。