乾式現像

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乾式現像:写真の未来像

乾式現像とは、写真や印刷の場面でよく使われる画像を作る技術のことです。昔ながらの写真現像のように、薬液に浸して行う現像とは違い、色を持ったとても細かい粉であるトナーを使います。このトナーを使うことで、静電気の力でできた目には見えない像を、見えるようにすることができるのです。この目に見えない像は静電潜像と呼ばれています。 もう少し詳しく説明すると、光を受けて変化した部分にトナーをくっつけることで、画像が浮かび上がる仕組みになっています。カメラのレンズを通った光が、感光体と呼ばれる部品に当たり、静電気が発生します。この静電気の力は、光が当たった部分とそうでない部分で異なり、この電気的な差が静電潜像となります。次に、プラスの電気を帯びたトナーが、マイナスの電気を帯びた静電潜像の部分に引き寄せられて付着します。こうして、目に見えない静電潜像が、トナーによって目に見える画像へと変わるのです。 乾式現像の大きな利点は、速く乾くことです。薬液を使う現像方式と比べて、すぐに仕上がるので、急いでいる時にも便利です。さらに、現像処理で廃液が出ないため、環境にも優しい技術と言えるでしょう。薬液を使う現像では、使用済みの液の処理が必要でしたが、乾式現像ではその手間が省けます。そのため、オフィスや家庭で使われるレーザープリンターやコピー機などにも広く使われており、私たちの生活に欠かせない技術となっています。今では、写真屋さんだけでなく、家庭でも手軽に高画質の印刷ができるのも、この乾式現像技術のおかげと言えるでしょう。