中間転写媒体

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熱転写で写真印刷:間接方式の巧妙な仕組み

間接型熱転写方式は、写真や絵を紙などに印刷する際に、熱の力を利用して色材を転写する特別な方法です。この方式の最大の特徴は、印刷したいものに直接色材を転写するのではなく、一度特別な膜(中間転写媒体)に色材を転写し、その後、その膜から最終的な印刷物に絵柄を転写する二段階方式である点です。 例えるなら、版画の工程に似ています。まず、転写したい絵柄を反転させた版を用意します。この版にあたるのが中間転写媒体です。次に、この版にインクを乗せます。これが熱で色材を転写する工程です。最後に、版を紙に押し付けてインクを転写することで、最終的な印刷物が完成します。間接型熱転写方式もこれと同じように、中間転写媒体に色材を転写した後、それを紙に押し付けることで、鮮やかな絵柄を浮かび上がらせるのです。 この方法は、熱転写方式の中でも昇華型と呼ばれる方法とは異なり、印刷したい紙に特別な層(受像層)を設ける必要がありません。昇華型は気体になった色材を直接紙に定着させるため、その色材を受け止めるための受像層が不可欠です。しかし、間接型熱転写方式では、中間転写媒体が受像層の役割を果たすため、様々な種類の紙に印刷できるという大きな利点があります。例えば、普段使いの普通紙に写真を印刷したい場合でも、中間転写媒体に受像層を設けることで、高画質印刷が可能になります。 このように、間接型熱転写方式は、二段階転写という独特な方法で、多様な素材への高画質印刷を実現する、大変便利な技術と言えるでしょう。