
写真劣化の要因:酸性紙
写真にとって大敵となるもののひとつに、酸性紙があります。これは、読んで字のごとく酸性の性質を持つ紙のことです。水素イオン指数(ピーエイチ)という酸性、アルカリ性の度合いを測る数値があり、7を中性として、それより低い値を示す紙が酸性紙と呼ばれます。
では、なぜ紙が酸性になってしまうのでしょうか?紙を作る過程で、にじみ止めの薬品を使うのですが、この薬品を紙にしっかり定着させるために硫酸アルミニウムという物質がよく用いられます。この硫酸アルミニウムこそが、紙を酸性にする一番の原因です。確かに硫酸アルミニウムは紙を丈夫にする効果がありますが、それと同時に紙を劣化させる原因にもなってしまうのです。
酸性紙は時間が経つにつれて黄色く変色したり、もろく壊れやすくなったりします。このような紙に写真を印刷すると、写真の色あせや劣化につながることがあります。特に、長い間保存する写真や、貴重な思い出が詰まった写真の場合、酸性紙の影響は深刻な問題になりかねません。
例えば、大切な家族写真などをアルバムに保存しているとします。このアルバムの台紙が酸性紙だった場合、時間が経つにつれて写真が台紙の酸の影響を受けて黄ばんでしまうことがあります。また、酸性紙はもろくなっていくため、写真が台紙にくっついてしまい、剥がそうとすると写真が破れてしまう可能性もあります。このように、酸性紙は写真の保存にとって大きなリスクとなるため、写真を保存する際は、中性紙、もしくは無酸紙を使用することが推奨されます。長期保存を目的とするのであれば、材質にも気を配り、適切な保存方法を選択することが大切です。