
バルブ撮影で光の世界を描く
幕を開けるようにシャッターボタンを押している間、ずっと光を取り込み続ける撮影方法、それが幕撮影です。この撮影方法は、シャッターが開いている時間を自分で自由に決められる特別な撮影方法です。まるで舞台の幕が上がり続けるように、光がカメラの中に流れ込み続けます。そのため、暗い場所で長時間光を取り込むことで、肉眼では見ることができない幻想的な情景を写真に収めることができます。主に、夜空に輝く星々や、街の夜景、華やかに打ち上がる花火など、光が美しく舞う場面を撮影する際に用いられます。
街の夜景撮影では、車のヘッドライトが光跡となって、まるで絵筆で描いた線を思わせるような美しい軌跡を描きます。赤や青、白といった色とりどりの光が、写真の画面を彩り豊かに演出してくれます。花火撮影では、夜空に大きく広がる花火の光を捉え、一瞬の輝きを永遠のものにすることができます。花火の火花の一つ一つ、残像が夜空に溶けていく様子、そして夜空に広がる色彩のグラデーションなど、肉眼では見逃してしまうような繊細な美しさも、幕撮影なら鮮やかに写し取ることができます。また星空撮影では、星の動きを捉え、まるで星が円を描いているかのような幻想的な写真を作り出すことができます。夜空に散りばめられた無数の星々が、時間とともにゆっくりと弧を描いていく様子は、まさに宇宙の壮大さを感じさせる神秘的な光景です。
幕撮影は、三脚を使ってカメラを固定することが大切です。長時間光を取り込むため、少しでもカメラが動くと写真がブレてしまいます。三脚を使うことで、カメラをしっかりと固定し、鮮明な写真を撮ることができます。また、光を取り込む時間によって写真の明るさが変わるため、適切な時間を見つけることが重要です。試し撮りをして明るさを確認しながら、光を取り込む時間を調整していくと、より美しい写真を撮ることができます。幕撮影は、まさに光で絵を描くように、自由で創造性豊かな写真表現を可能にする撮影方法です。