
正孔移動度:画質への影響
光を受けて電気を帯びる穴のような性質を持つものを正孔と呼びます。この正孔が、光を受け止める性質を持つ物体の中をどれほど速く動けるかを示す尺度が、正孔移動度です。
もう少し詳しく説明すると、光を受け止める物体に電気を流す力である電場をかけた時、正孔がその力の強さに応じてどれほど速く動けるかを平均の距離で表したものが正孔移動度です。単位は平方センチメートル毎ボルト毎秒(cm²/Vsec)で表され、この値が大きいほど、正孔は速く動けます。
例えとして、平らな道で荷物を運ぶ人の様子を想像してみましょう。荷物が正孔、道が光を受け止める物体、そして人の歩く速さが正孔移動度だと考えてみてください。
移動度が高いということは、同じ力でより多くの荷物を運べる、つまり効率が良いことを示しています。例えば、移動度が高い材料を用いた光を受け止める部品は、より感度が高く、速い反応を示すため、高画質で滑らかな動画撮影が可能になります。また、太陽電池においても、移動度が高いほど発電効率が向上します。逆に、移動度が低いと、光を受け止めてから反応するまでに時間がかかったり、電気を効率よく運べなかったりするため、画像がぼやけたり、発電効率が下がったりする原因となります。
このように、正孔移動度は、光を受け止める部品や太陽電池などの性能を左右する重要な要素であり、より高性能な製品開発のためには、移動度の高い材料の研究開発が欠かせません。