
消せる印刷、POPの魅力
店頭販促物などでよく見かける、書き換え可能な表示板をご存知でしょうか?実はあれはPOPと呼ばれ、何度も書き換えができる特殊な印刷方式で出来ています。このPOPは、磁気の力を利用して情報を記録し、必要に応じて消去できるという画期的な仕組みを持っています。
POPに用いられる特殊な用紙の中には、目には見えないほど小さな磁石の粒子がたくさん散りばめられています。これらの粒子は、砂鉄が磁石に吸い寄せられて模様を描くように、磁石に反応して向きを変えます。磁石を使ってこれらの微小な磁石の向きを細かく制御することで、文字や図形を描くことができるのです。まるで磁石の筆で絵を描く魔法のような技術と言えるでしょう。
この技術は、磁気カプセル型書き換え方式と呼ばれています。磁気を帯びた粒子を小さなカプセルの中に閉じ込めることで、粒子の散乱を防ぎ、より鮮明でくっきりとした絵や文字を描けることが可能になります。また、情報を書き換える際には、用紙を交換する必要はありません。磁石を使って粒子の向きを変えるだけで、何度も繰り返し書き直しができます。まるで黒板にチョークで文字を書いて、消して、また書くように、自由に書き換えができるのです。
この仕組みのおかげで、POPは同じ用紙を何度も再利用することができ、資源の無駄遣いを減らすことができます。つまり、環境にも優しい印刷方式と言えるでしょう。必要な時に必要な情報を表示し、不要になったら消して書き換える。そんな利便性と、まるで紙に印刷したように鮮明で美しい表現力を兼ね備えた、それがPOPなのです。