バルブ撮影

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撮影方法

光跡で描く幻想風景:バルブ撮影入門

「バルブ撮影」とは、シャッターボタンを押している間ずっと、カメラのシャッターが開いたままになり、光を取り込み続ける撮影方法のことです。まるで蛇口のバルブを開けているように、光を自在に注ぎ込むことができることから、この名前が付けられました。 この撮影方法の一番の特徴は、シャッターが開いている時間を自分の手で自由に決められるという点です。一般的な撮影では、カメラがあらかじめ設定された短い時間でシャッターを開閉しますが、バルブ撮影では、シャッターボタンを押し続けている間はずっとシャッターが開いたままになり、ボタンを離した瞬間にシャッターが閉じます。そのため、数秒から数分、場合によってはそれ以上の時間、光を取り込み続けることができます。 バルブ撮影は、夜間の撮影で特に力を発揮します。例えば、夜空に打ち上がる花火の美しい軌跡や、車のヘッドライトが描く光の筋、無数の星が輝く夜空など、暗い場所で動く光を捉えたい時に最適です。肉眼では一瞬しか見えない光も、バルブ撮影なら、時間をかけて光を蓄積することで、写真に美しく残すことができます。肉眼では捉えられない、星の動きを線状に記録することも可能です。 バルブ撮影を行う際の注意点として、カメラをしっかりと固定することが重要です。長時間露光を行うため、わずかな手ブレでも写真がぼやけてしまうからです。三脚を使うのはもちろんのこと、カメラのレリーズ機能を使う、もしくはセルフタイマー機能を使うことで、シャッターボタンを押す際の振動も抑える工夫をしましょう。また、街灯などの余計な光が入らないように、撮影場所の明るさにも気を配る必要があります。 バルブ撮影は、少しの練習と工夫で、幻想的で印象的な写真を撮ることができる撮影方法です。普段とは違った写真表現に挑戦したい方は、ぜひ試してみてください。