トナー転写

色のついた粉を紙に写して絵や写真を出す機械には、いくつかの色の粉を順番に重ねていくものがあります。このやり方だと、先に紙に写した色の粉が、次の色の粉を写す時に、写すための特別な筒にくっついてしまうことがあります。これが再転写と呼ばれる現象です。まるで絵の具が混ざるように、本来の色とは違う色がついてしまい、写真の出来栄えが悪くなってしまうのです。 たとえば、真っ赤な色を出したいとします。赤い粉を先に紙に写し、次に別の色の粉、例えば黄色を写すとします。この時、赤い粉の一部が写すための筒にくっついて、黄色の粉と一緒に紙に写ってしまうことがあります。すると、本来は赤と黄色の色が別々に並んで鮮やかに見えるはずが、赤と黄色が混ざったオレンジ色のような濁った色になってしまいます。 また、細い線を描きたい時にも再転写は問題になります。細い線は、色の粉を正確な位置に写すことで表現されます。しかし、再転写が起こると、本来は白い部分に色がついてしまったり、線が太くなってぼやけてしまったりすることがあります。まるで、筆で描いた線が滲んでしまったように見えてしまうのです。 さらに、本来何もないはずの場所に色が滲んでしまうこともあります。これは、再転写によって筒にくっついた色の粉が、予期せぬ場所に散らばってしまうために起こります。例えば、空のような広い青い部分の端に、本来はないはずの赤い点々が見えてしまう、といったことが起こるのです。 このような色の濁りや線のぼやけ、色の滲みは、特に写真の美しさが大切な時に大きな問題となります。そのため、色のついた粉を写す機械を作っている人たちは、再転写が起こりにくいような工夫を凝らしています。