
タンデム方式で高画質カラー印刷を実現
色のついた絵や写真を、まるで生きているかのように紙の上に再現する方法の一つに「タンデム方式」と呼ばれる印刷方法があります。これは、職人が絵の具を幾重にも塗り重ねて深みのある色彩を出すように、複数の色のインクを順番に紙に重ねていくことで、鮮やかな一枚の絵を作り上げる技術です。
この印刷方法の心臓部には、「作像ユニット」と呼ばれる重要な部品が一列に並んでいます。このユニットは、カメラのレンズやフィルムのような役割を果たし、それぞれのユニットに、青みがかった色(シアン)、赤みがかった色(マゼンタ)、黄色(イエロー)、そして黒(ブラック)といった基本となるインクがセットされています。さらに、より特別な色が必要な場合には、特色と呼ばれるインクを使うためのユニットが追加されることもあります。これらのユニットは、まるで電車のように一列につながっており、紙がこのユニットの間を順番に通り抜けていくことで、各色のインクが紙に重ねられていきます。
印刷が始まると、まず白い紙が最初のユニットに入ります。ここでは、例えばシアンのインクが紙に吹き付けられます。シアンのインクが乾かないうちに、紙は次のユニットへと送られ、マゼンタのインクが重ね塗りされます。このようにして、黄色、黒、そして必要に応じて特色のインクが順番に重ねられていきます。一枚の紙が全てのユニットを通過する頃には、それぞれのインクが混ざり合い、元々の絵や写真が再現されます。
タンデム方式の利点は、色の再現性が非常に高いことです。まるで多くの職人がリレーのバトンを渡すように、それぞれのユニットが精密に制御されているため、非常に細かい部分まで正確に色を再現できます。また、一度にたくさんの枚数を印刷することができるので、新聞や雑誌などの大量印刷にも適しています。まるで魔法のように、白い紙が鮮やかな色彩で彩られていく様子は、まさに印刷技術の結晶と言えるでしょう。