
スリット露光で精密な画像を
細長い光で少しずつ読み取る、それがスリット露光と呼ばれる技術です。この技術は、複写機や画像を読み取る機械などで広く使われています。ふつうの写真撮影のように、全体を一度にパッと光で照らすのではなく、まるで細い糸のような光を原稿に当て、それを少しずつ動かしていくことで、全体を写し取っていきます。
この糸のように細い光は、どうやって作るのでしょうか?光源から出た光を、細長いすき間のある板に通すことで、細長い線状の光を作り出します。この光を、スリット光と呼びます。このスリット光を原稿に当てると、光は原稿で反射したり、原稿を通り抜けたりします。
原稿から反射あるいは透過した光は、光を受け取る部品へと送られます。この部品は、光を電気の信号に変えます。光の強弱に応じて電気信号の強さも変わり、この電気信号が画像の情報となります。スリット光が当たっている部分だけが読み取られるので、まるで細い光で原稿を一行ずつ丁寧に読み取っていくような方法と言えるでしょう。
この読み取り方を採用することで、きめ細やかな画像を作ることが可能になります。全体を一度に写し取る方法に比べて、スリット露光は、歪みを抑え、より正確な情報を写し取ることができるため、高画質が求められる場面で活躍しています。まるで職人が丁寧に線を描き込んでいくように、スリット光は原稿の情報を精密に読み取り、高精細な画像を作り出していくのです。