
線順次方式で色彩を捉える
線順次方式とは、色のついた紙や写真といった原稿の色を読み取り、分解する手法の一つです。原稿を一枚の絵画に見立てると、絵筆に色を付けて何度もなぞることで、最終的に一枚の絵が完成するように、線順次方式も色のついた光を使い分けながら原稿を読み取っていきます。
線順次方式では、原稿全体を何度も走査する必要はなく、一度で済みます。まるで魔法の筆で一気に絵を描くように、細長い読み取り装置(ラインセンサ)が一列ずつ原稿を読み進めていきます。この時、赤、緑、青の3色の光を順番に切り替えながら照射します。例えば、一行目を読み取る時は、まず赤い光を当てて読み取り、次に緑の光、最後に青い光を当てて読み取ります。
ラインセンサは光を当てた時に反射してくる光の強さを感知することで、色の濃淡を判別します。赤い光を当てた時に強く反射すれば、その部分は赤い色が濃いということになります。緑や青についても同様です。このように、一行を読み取るごとに光の三原色を順番に切り替えることで、その部分の色情報を得ていくのです。そして、これを繰り返すことで、原稿全体の色情報が得られます。
この方式の利点は、原稿の走査が一度で済むため、読み取りにかかる時間が短縮できることです。何度も走査する方式に比べて、原稿を読み取る装置を動かす回数が少なく済むため、装置の摩耗を抑えることもできます。さらに、一度の走査で全ての色情報を得られるため、色のずれが生じにくいという利点もあります。これらの利点により、私たちは手軽に質の高い色のついた画像を手に入れられるようになったのです。