
熱履歴制御で写真画質を向上
熱履歴制御とは、印刷機などに使われている、熱を使って模様を描く小さな部品、サーマルヘッドの温度を細かく調整する技術のことです。このサーマルヘッドは、電気を流すと熱を出す仕組みで、この熱で紙などに模様を焼き付けて印刷を行います。しかし、続けて何度も使うと熱がこもり、印刷した模様にムラが出てしまうことがあります。例えば、濃い部分が薄くなったり、線がかすれたりといった具合です。
そこで、過去の電気の流し方を記録した情報、つまり熱の履歴に基づいて、適切な電気の流し方を調整する技術が熱履歴制御です。これはちょうど、料理で火加減を調整するようなものです。過去の加熱状態をみて、火を強めたり弱めたりすることで、常に丁度良い温度を保つことができます。熱履歴制御もこれと同じように、過去の通電状態をみて、電気を多く流したり少なく流したりすることで、サーマルヘッドの温度を一定に保ちます。
この技術のおかげで、写真のように高い画質の印刷物を安定して作り出すことができます。例えば、グラデーションの滑らかさや、文字の輪郭のくっきりとした表現など、熱履歴制御によって、より鮮明で美しい印刷が可能になります。また、熱履歴制御は、印刷のムラを防ぐだけでなく、サーマルヘッドの寿命を延ばす効果もあります。熱の蓄積による劣化を抑えることで、長く安定して使えるようになります。つまり、高画質で安定した印刷を維持するために、熱履歴制御は欠かせない技術と言えるでしょう。