コロナ

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技術

帯電電流:鮮明な画像の鍵

複写機やレーザー印刷機といった画像を作る機械では、「電子写真」という方法がよく使われています。この方法では、ドラムのような形をした「感光体」に静電気をためて、そこに光を当てて絵や文字を写し取ります。静電気をためることを「帯電」と言い、この時に感光体に流れる電気を「帯電電流」と呼びます。 感光体には、光に反応する特別な層(光導電層)があり、ここに静電気をためる必要があります。帯電の仕組みは、「コロナ放電」という現象を利用しています。コロナ放電は、とがった電極に高い電圧をかけると、電極の周りに電気が放出される現象です。この放電を利用して、コロナ電極から感光体の光導電層に電気を流します。これが帯電電流です。 帯電電流によって、感光体全体に均一に静電気が行き渡ります。この状態は、まるで真っ白な紙のような状態です。次に、光を当てて絵や文字を描きます。光が当たった部分は静電気が変化し、光が当たっていない部分と差が生まれます。この差が、後の工程でトナーと呼ばれる粉を吸着させる力となり、最終的に紙に画像として現れるのです。 帯電電流の量は、最終的な画像の品質に大きく影響します。電流が少なすぎると、静電気が足りずに画像が薄くなったり、ムラが出てしまいます。逆に電流が多すぎると、感光体が過剰に帯電してしまい、画像が濃くなったり、全体が黒くなってしまうこともあります。そのため、帯電電流は非常に細かく調整する必要があり、高品質な画像を作るためには、この電流を正確に制御することが重要となります。