
写真に白い点?キャリア付着の謎を解く
写真の焼き付けに使われる二成分現像方式では、現像剤である粉状の絵の具(トナー)を運ぶための小さな粒(キャリア)が使われています。このキャリアが、本来くっつくべきトナーではなく、写真の元となる静電気の模様(静電潜像)にくっついてしまうことがあります。これをキャリア付着といいます。キャリアはトナーよりも粒が大きいため、写真に白い点やむらとなって現れ、写真の仕上がりを悪くしてしまいます。
なぜこのようなことが起きるのでしょうか。それは、静電潜像とキャリアの間にはたらく静電気の引力が、キャリアとトナーをくっつける磁力よりも強くなってしまうためです。つまり、キャリアはトナーを運ぶべき場所で、静電潜像に強く引き寄せられてしまい、写真の絵の具となるトナーを運べなくなってしまうのです。
くっついたキャリアは、次の工程である転写工程にも残ってしまい、最終的に白い点として焼き付けられてしまいます。まるで小さなビーズが写真に散らばってしまったように見えることから、ビーズキャリーオーバーとも呼ばれます。高画質な写真を作るためには、この現象が起きる原因と、それを防ぐ方法を知ることが大切です。
キャリア付着を防ぐためには、現像器内部の湿度や温度を適切に管理することが重要です。湿度が高すぎると静電気が発生しやすくなり、キャリア付着を招きます。また、温度が低いとトナーとキャリアの結びつきが弱まり、キャリアが静電潜像に引き寄せられやすくなります。さらに、キャリアの帯電量やトナーの量なども調整することで、キャリア付着を抑制することができます。これらの要素を適切に制御することで、キャリアが本来の役割であるトナーの運搬を正しく行い、美しい写真を得ることができるのです。