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印刷

インクジェット印刷の知られざる一面:フェイス面濡れとは?

皆さんは、書類や写真を印刷する際に何気なくプリンターを使っていることと思います。ボタンを押せば紙に文字や絵柄が浮かび上がる、その仕組みを詳しく考えたことはありますか?実は、プリンターの内部ではインクを紙に定着させる緻密な技術が用いられています。その過程で、印刷の仕上がりや品質を左右する様々な現象が起こっているのです。今回は、その中でも「フェイス面濡れ」と呼ばれる現象について、分かりやすく説明していきます。 「フェイス面濡れ」とは、印刷時にインクが紙に過剰に染み込んでしまう現象のことです。まるで紙の表面が濡れているように見えることから、この名前が付けられました。一見すると専門用語のように難しく聞こえますが、実は私たちの身近な印刷物にも深く関わっている重要な現象なのです。例えば、印刷した文字が滲んでしまったり、写真の色味がくすんでしまったりするのは、このフェイス面濡れが原因となっている可能性があります。 フェイス面濡れが発生する原因は、インクの種類や紙の性質、そして印刷時の環境など、様々な要因が複雑に絡み合っています。例えば、インクの粘度が低すぎたり、紙の表面が粗かったりすると、インクが紙に浸透しやすくなり、フェイス面濡れが発生しやすくなります。また、湿度が高い環境で印刷を行うと、紙が水分を吸収しやすくなるため、これもフェイス面濡れの原因となります。 フェイス面濡れは、印刷物の品質を低下させるだけでなく、プリンターの故障に繋がることもあります。過剰に染み込んだインクがプリンター内部のローラーに付着し、印刷のムラや汚れを引き起こす可能性があるからです。このようなトラブルを防ぐためには、適切なインクと紙を選び、印刷時の環境を整えることが重要です。次回以降の記事では、フェイス面濡れの具体的な対策方法について、さらに詳しく解説していきます。今回の記事を通して、フェイス面濡れへの理解を深め、より高品質な印刷を実現するための第一歩を踏み出していただければ幸いです。
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記録ヘッドの心臓部:オリフィスプレート

インクを吹き付ける印刷機や記録装置で、液体の通り道を作る肝心な部品、それがオリフィスプレートです。名前の通り板のような形をしていて、この板に開けられた小さな穴(オリフィス)がインクなどの液体を吐き出す出口になります。この穴の大きさは、印刷機の性能を決める極めて大事な要素です。吹き出す液滴の粒の大きさや速さ、さらには印刷の良し悪しや記録の正確さに直接つながるため、高い正確さで作ることが求められます。 オリフィスプレートは、通常30から90マイクロメートルというとても薄い板から作られます。これは髪の毛よりも細いこともあります。この薄さが、液体を滑らかに吐き出し、正確に操作することを可能にしています。材料としては、さびにくい鋼(ステンレス鋼)や樹脂の板などが使われます。それぞれの材料は、薬品への強さ、丈夫さ、加工のしやすさといった特徴が異なり、用途や必要な性能に合わせて使い分けられます。例えば、薬品に強い必要がある場合はステンレス鋼が、費用を抑えたい場合は樹脂の板が選ばれます。 この小さな穴(オリフィス)は、インク滴の大きさや吐出速度を左右する重要な部分です。穴の大きさが均一でないと、インク滴の大きさや速度がばらつき、印刷品質にムラが生じます。また、穴の位置や形状も重要です。これらがずれていると、正確な位置にインクを吐出することができず、記録精度が低下します。さらに、オリフィスプレートの耐久性も重要な要素です。長期間の使用に耐えうる強度が求められます。そのため、材料の選定だけでなく、表面処理などの技術も重要になります。近年では、より小さな穴を作るために、新しい材料や加工方法の開発が進められています。より高精細な印刷や、新しい機能を持つ印刷機の実現に向けて、オリフィスプレートの技術は進化し続けています。