
通電転写の仕組み:導電層の役割
通電転写記録方式は、熱を使ってインクを写し取る印刷方法です。この方法は、熱に反応する特別なインクが塗られたリボンと、細かい発熱体を並べた記録ヘッドを使います。印刷したい模様に合わせて、記録ヘッドの発熱体に電気を流します。すると、電気が流れた部分の発熱体が熱くなり、その熱でインクのリボンが溶けます。溶けたインクは、そのすぐ下にある紙などの印刷したい物にくっつきます。こうして、模様通りにインクが転写され、印刷が完了します。
この方法は、文字や絵柄がはっきりと、かつ速く印刷できるのが特徴です。また、インクが転写された直後でも、触ってもインクがにじんだり、汚れたりする心配がほとんどありません。これは、熱でインクを瞬時に溶かして転写するためです。そのため、お店で使われる商品の値札や、バーコードの印刷によく使われています。製造現場で製品に貼るラベルや、運送会社が荷物に貼る伝票などにも利用されています。
さらに、使うインクの種類を変えることで、印刷物の耐久性や耐候性を調整できます。例えば、水に強いインクを使えば、雨に濡れても印刷した内容が消えません。また、日光に強いインクを使えば、屋外に置いても色が褪せにくくなります。このように、印刷する物や場所の環境に合わせて、最適なインクを選ぶことができるので、様々な場面で活用されています。例えば、冷凍庫で保管する食品のラベルには、低温に強いインクが選ばれます。屋外に設置する看板には、日光に強く、雨にも強いインクが使われます。このように、通電転写記録方式は、速くて鮮明な印刷ができる上、様々な環境に対応できる、とても便利な印刷方法と言えるでしょう。