
マイクロフィルム:記録保存の賢い選択
マイクロフィルムとは、書類や印刷物などを写真技術を用いて縮小撮影し、フィルムに記録したものを指します。フィルムそのもの、あるいはフィルムに写っている小さな画像のことをマイクロフィルムと呼ぶこともあります。縮小率は通常、元の大きさの8分の1から40分の1程度です。オフィスいっぱいに詰め込まれていた書類の山が、小さなフィルムケース数個に収まってしまうほど、保管場所を節約することができます。
マイクロフィルムの大きな利点は、その保存性の高さにあります。紙は湿気や光、害虫の影響を受けやすく、長期間保存すると劣化しやすい性質があります。しかし、マイクロフィルムは違います。適切な温度や湿度で管理された環境であれば、数百年もの長い間、記録した情報を鮮明なまま保存することが可能です。古文書や歴史的資料、設計図、契約書など、重要な書類を長期にわたって保管する必要がある場合、マイクロフィルムは最適な手段と言えるでしょう。
マイクロフィルムには、ロールフィルムタイプ、マイクロフィッシュタイプ、アパーチュアカードタイプの3種類があります。ロールフィルムタイプは、映画フィルムのようにロール状になったもので、大量の書類を連続して撮影する際に適しています。マイクロフィッシュタイプは、シート状のフィルムに複数の画像を記録したもので、検索性に優れています。アパーチュアカードタイプは、パンチカードにマイクロフィルムを埋め込んだもので、コンピュータ処理との相性が良いという特徴があります。目的に合わせて最適なタイプを選ぶことが大切です。マイクロフィルムを見るためには、専用の閲覧機器が必要です。これは、フィルムに記録された小さな画像を拡大して表示する装置で、図書館などで利用することができます。近年は、マイクロフィルムのデジタル化も進んでおり、パソコンで手軽に閲覧できるようになっています。このように、マイクロフィルムは、省スペース化と長期保存を実現する優れた記録媒体として、今後も様々な分野で活用されていくことでしょう。