JBIG:高圧縮の白黒画像フォーマット
写真について聞きたい
先生、「JBIG」って写真編集の用語で出てきました。何のことですか?
写真研究家
「JBIG」は、白黒の画像を小さくするための技術の名前だよ。写真編集ソフトで、白黒の画像を扱うときによく使われるんだ。正式名称は「二値画像符号化方式」って言うんだけど、少し難しいね。
写真について聞きたい
白黒画像を小さくする技術…ですか。なぜ、白黒画像だけなんですか?
写真研究家
「JBIG」は、特に白黒の文字や線画を効率的に圧縮するために作られた規格なんだ。だから、白黒画像に特化しているんだよ。色のついた写真にも使える圧縮技術は他にもたくさんあるけどね。
JBIGとは。
写真撮影や写真の編集で使われる『JBIG』という用語について説明します。JBIGは、ITU-T勧告T.82とISO/IEC 11544規格で定められた、白黒の画像をデータとして小さくするための方法です。マルコフモデル符号化とQM符号化という算術符号化を組み合わせ、段階的にデータ量を減らすこともできます。文字画像の場合、G4という標準で使われているMMRという符号化方式よりも、データの大きさを約3割小さくできます。JBIGという名前は、この規格を作った団体であるJoint Bi-level Image experts Groupの略称です。
概要
黒と白の二値画像を効果的に小さくする技術、それがJBIGです。正式には、国際電気通信連合(ITU)と国際標準化機構(ISO)という、世界の通信と標準化を担う二つの組織が共同で定めた、ITU-T勧告T.82およびISO/IEC 11544を指します。
JBIGの強みは、二つの優れた圧縮技術を組み合わせている点にあります。一つは、画像の色の並び方の傾向を予測するマルコフモデル符号化。もう一つは、出現頻度の高い色に短い記号を割り当てる算術符号化です。これらの技術を組み合わせることで、驚くほど高い圧縮率を実現しています。
特に、文字画像の圧縮においては、従来のG4ファクスで使われていたMMR符号化方式よりも約3割も高い圧縮率を達成しています。これは、書類の電子化や保管、送受信にかかる時間と費用を大幅に削減できることを意味します。
JBIGという名称は、「二値画像専門家合同グループ(Joint Bi-level Image experts Group)」の頭文字からきています。この名前が示す通り、世界中の専門家が集結して開発された、信頼性の高い技術規格です。現在、様々な分野で活用されており、今後ますます重要な役割を担っていくことでしょう。JBIGは、限られた通信回線や記憶容量を有効に活用するための、まさに現代社会に欠かせない技術と言えるでしょう。
項目 | 説明 |
---|---|
JBIGの正式名称 | ITU-T勧告T.82およびISO/IEC 11544 |
JBIGの強み | 二つの優れた圧縮技術(マルコフモデル符号化と算術符号化)の組み合わせ |
圧縮率 | G4ファクス(MMR符号化方式)より約3割向上 |
JBIGの名称由来 | 二値画像専門家合同グループ(Joint Bi-level Image experts Group) |
仕組み
JBIGは、絵をデータとして小さくするための、かしこい方法を使っています。この方法は、絵の中の点の並び方に注目しています。白黒の絵は、白い点と黒い点の繰り返しでできています。ある点が白か黒かは、周りの点の色と関係があることが多いです。例えば、黒い点の周りは黒い点が多い、白い点の周りは白い点が多い、といった具合です。JBIGはこの関係を利用します。周りの点の色から、次の点の色を予測するのです。この予測が当たることで、少ない情報で絵全体を表すことができます。
まるで推理ゲームのようなものです。すでに分かっている情報から、次に来るものを推理するのです。推理がうまくいけば、少ない情報でたくさんのことを伝えることができます。JBIGは、このような予測を繰り返すことで、データの量を減らしていきます。
さらに、JBIGは算術符号化と呼ばれる技術も使っています。これは、よく現れる点の並びには短い符号を、あまり現れない点の並びには長い符号を割り当てる技術です。例えば、「あ」という文字はよく使われますが、「ゐ」という文字はあまり使われません。よく使う「あ」には短い符号を、あまり使わない「ゐ」には長い符号を割り当てることで、全体として使う符号の量を減らすことができます。
JBIGは、この予測と算術符号化を組み合わせることで、高い圧縮率を実現しています。つまり、絵のデータをとても小さくすることができるのです。これは、少ない容量でたくさんの絵を保存したり、送ったりするのにとても役に立ちます。
階層的符号化
階層的符号化とは、一枚の絵を、まるで地図のように様々な縮尺で表現し、段階的に詳細を見せていく手法です。
たとえば、遠くから全体像を捉えた縮小版を最初に表示し、その後、見たい部分を拡大していくように、徐々に高精細な部分を表示していきます。
この階層的符号化は、JBIGという画像圧縮技術で利用されています。
インターネット上で写真を送受信する場面を想像してみてください。回線が細い場合、大きな写真を読み込むのに時間がかかります。そこで、階層的符号化が役立ちます。
まずは荒い縮小画像をすぐに表示します。これにより、利用者は全体像をすぐに把握できます。その後、回線状況に合わせて、段階的により精細な画像データを読み込み、表示を更新していきます。
まるで焦点が合うように、ぼやけていた絵が次第にくっきりと鮮明になっていくイメージです。
この方式の利点は、表示速度の向上です。利用者は高精細画像の読み込みを待つことなく、すぐに画像の内容を把握できます。
また、必要な精細度に応じてデータ量を調整できる点もメリットです。全体像で十分な場合は、縮小画像だけで済みます。細部を確認したい場合のみ、高精細画像を読み込めば良いのです。
このように、階層的符号化は、通信回線の負担を軽減し、利用者の待ち時間を短縮する、まさにインターネット時代に適した技術と言えるでしょう。
活用事例
活用事例は多岐に渡ります。JBIGは、その優れた圧縮性能と段階的な表示機能により、様々な場面で利用されています。
まず、事務機器での活用です。例えば、事務でよく使われるFAXや書類読み取り機などで作られる白黒の書類は、JBIGによって圧縮されます。これにより、記憶領域を節約できるだけでなく、送受信にかかる時間も短縮できます。
次に、電子書籍や記録保管といった、大量の書類を取り扱う仕組みにJBIGは欠かせません。限られた記憶領域の中で、多くの書類を効率よく保管することが可能になります。過去の貴重な資料などを電子化して保存する場合にも、JBIGは役立ちます。
また、新聞や雑誌などを電子書籍として読む際にも、JBIGの圧縮技術が活躍しています。鮮明な白黒画像を小さなデータ容量で提供できるため、快適に読書を楽しむことができます。
さらに、インターネット上でもJBIGは広く使われています。ホームページに表示される白黒の絵などを圧縮することで、表示速度を向上させることができます。通信速度が遅い環境でも、ストレスなく絵を見ることができるのは、JBIGのおかげと言えるでしょう。
このように、JBIGは私たちの生活の様々な場面で、見えないところで活躍しています。今後も、ますます多くの分野で活用されていくことでしょう。
活用事例 | メリット |
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事務機器(FAX、書類読み取り機) | 記憶領域の節約、送受信時間の短縮 |
電子書籍、記録保管 | 限られた記憶領域での効率的な保管 |
新聞、雑誌(電子書籍) | 鮮明な白黒画像を小さなデータ容量で提供 |
インターネット | 表示速度の向上 |
利点と欠点
図表や手書き文字といった白黒の画像を扱う際に、JBIGという技術は非常に役立ちます。この技術の大きな特長は、データをぎゅっと圧縮できることです。まるで布団圧縮袋のように、画像データの容量を小さくすることで、たくさんの画像を保存する場所を節約できるだけでなく、データを送受信する時間も短縮できます。さらに、画像を表示する速度も速くなるため、ウェブサイトや電子書籍などで快適に画像を見ることができます。まるで一枚一枚の絵を丁寧に積み重ねていくように、階層的にデータを扱うため、必要な部分だけを素早く表示することも可能です。
しかし、JBIGにも苦手な部分があります。それは、色のついた写真には対応していないということです。白黒の画像に特化しているため、カラフルな風景写真や人物写真などを扱う場合は、JPEGなどの別の技術を使う必要があります。また、データを圧縮したり展開したりする処理に時間がかかるという点も考慮しなければなりません。特に、きめ細かい高解像度の画像を扱う場合は、処理速度が低下する可能性があります。まるで細かい模様を一つ一つ丁寧に織り上げていくように、複雑な計算が必要となるためです。
このように、JBIGは白黒画像の圧縮に非常に優れている一方で、カラー画像への対応や処理速度といった面で課題があります。そのため、画像の種類や用途、そして求める速度などを考慮して、最適な技術を選ぶことが重要です。例えば、容量を小さくしてたくさんの白黒の図表を保存したい場合はJBIGが最適ですが、鮮やかな色の写真を扱う場合はJPEGなど、状況に合わせた選択が求められます。
メリット | デメリット |
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