露出を自動調整!AEBを使いこなす

露出を自動調整!AEBを使いこなす

写真について聞きたい

先生、『AEB』ってどういう機能ですか?写真撮影でよく聞くんですけど、よくわからなくて。

写真研究家

『AEB』は『自動露出ブラケティング』の略で、明るさを少しずつ変えて何枚か写真を撮る機能だよ。例えば、明るめ、普通、暗めの3枚を自動で撮ってくれるんだ。後で最適な一枚を選べるから、失敗が少なくなるね。

写真について聞きたい

なるほど!明るさを変えて何枚も撮るんですね。どんな時に使うと便利ですか?

写真研究家

風景写真や人物写真のように動きの少ない被写体に向いているよ。逆に、鳥が飛ぶ瞬間など、動きの速い被写体にはあまり向いていないんだ。一番良いタイミングの写真で明るさがずれていることもあるからね。

AEBとは。

『露出ブラケティング』という写真撮影と写真編集に関する用語について説明します。露出ブラケティングとは、カメラが自動で明るさを変えて複数枚の写真を撮る機能のことです。明るさはシャッタースピードと絞りの組み合わせで決まります。

例えば、撮影前に明るさを「+1」「0」「-1」と設定して連続撮影すると、露出ブラケティング機能によって明るさが自動的に変更された3枚の写真が撮られます。撮影後に一番良い写真を選ぶことができるので、明るさの調整が難しい逆光で撮影する場合でも失敗を防ぐことができます。

具体的には、作例のように風景写真や人物写真など、動きの少ない被写体を撮影する際に便利です。一方、鳥やスポーツ、レースなど動きの速い被写体には向きません。例えば、カワセミが水に飛び込む瞬間を撮影するときに露出ブラケティングを使うと、一番良い写真が適切な明るさになっていない可能性があります。使い方には注意が必要です。

露出とは

露出とは

写真は光を写し取ったものですが、その光の量を調整するのが露出です。露出を正しく理解することは、写真の腕を上げるために欠かせません。露出は、絞り、シャッター速度、感度という三つの要素が組み合わさって決まります。この三つの要素を「露出の三要素」と呼び、まるで三角形の三つの辺のように、一つが変わると他の二つにも影響を与えます。

まず、絞りについて説明します。絞りとは、レンズの開き具合のことです。絞りを狭くすると、レンズを通る光の量は少なくなり、写真は暗くなります。反対に、絞りを広くすると、レンズを通る光の量は多くなり、写真は明るくなります。絞りは、被写界深度にも関係しており、絞りを狭くするとピントの合う範囲が広くなり、絞りを広くするとピントの合う範囲は狭くなります。背景をぼかしたい場合は、絞りを広く設定すると効果的です。

次に、シャッター速度について説明します。シャッター速度とは、シャッターが開いている時間のことです。シャッター速度が速いと、短い時間で光を取り込むため、写真は暗くなります。また、動いている被写体を止めて写すことができます。反対に、シャッター速度が遅いと、長い時間で光を取り込むため、写真は明るくなります。動いている被写体はブレて写ります。流れる水や車の光跡を表現したい場合は、遅いシャッター速度を使うと効果的です。

最後に、感度について説明します。感度とは、カメラの光に対する感度のことです。感度を高くすると、少ない光でも明るく写すことができますが、同時に画像にざらつきが出てきます。これをノイズと言います。反対に、感度を低くすると、ノイズは少なくなりますが、暗い場所では写真が暗くなってしまいます。暗い場所で撮影する必要がある場合、感度を上げる必要がありますが、ノイズとのバランスを考えることが大切です。

露出の三要素を理解し、適切に調整することで、写真の明るさを自由に操り、表現の幅を広げることができます。撮影したい場面に合わせて、最適な露出を見つけ出すように心掛けましょう。

要素 効果 写真への影響 使用例
絞り
(レンズの開き具合)
狭くする: 光量↓
広くする: 光量↑
狭くする: 暗くなる、ピントの合う範囲広がる
広くする: 明るくなる、ピントの合う範囲狭まる
背景をぼかしたい場合:広くする
シャッター速度
(シャッターが開いている時間)
速くする: 光量↓
遅くする: 光量↑
速くする: 暗くなる、動いてるものを止めて写す
遅くする: 明るくなる、動いてるものがブレて写る
流れる水や光跡を表現したい場合:遅くする
感度
(光に対する感度)
高くする: 光量↑
低くする: 光量↓
高くする: 明るくなる、ノイズが増える
低くする: 暗くなる、ノイズが減る
暗い場所で撮影する場合:高くする (ノイズに注意)

AEB機能の概要

AEB機能の概要

自動露出調節機能(AEB)は、カメラが明るさを自動で変えて複数枚の写真を撮る便利な機能です。この機能を使うと、明るさの段階を変えた写真がいくつか撮れるので、撮影後に最適な一枚を選ぶことができます。

例えば、逆光で人物を撮る場面を考えてみましょう。逆光では、人物が暗く写ってしまうことがよくあります。そんな時、この自動露出調節機能を使えば、明るい写真、普通の明るさの写真、暗い写真と、明るさの異なる複数枚の写真を一度に撮ることができます。撮影後に、人物がはっきりと写っている写真や、背景も綺麗に写っている写真など、一番良い写真を選ぶことができるので、失敗が少なくなります。

この機能は、風景写真にも役立ちます。例えば、空と地面の明るさが大きく違う夕焼けの風景を撮る時、空の明るさに合わせると地面が暗くなり、地面の明るさに合わせると空が白飛びしてしまうことがあります。しかし、自動露出調節機能を使えば、空も地面も綺麗に写る一枚を選ぶことができます。

この機能で明るさをどれくらい変えるかは、カメラの設定で調整できます。少しだけ明るさを変えたい場合や、大きく変えたい場合など、撮影シーンに合わせて細かく設定できます。また、撮影枚数も設定できるので、状況に応じて枚数を増減できます。

この自動露出調節機能を使うことで、露出の失敗を減らし、様々な撮影状況で最適な一枚を確実に残すことができます。特に、明るさの調整が難しい場面で効果を発揮する、写真の腕を上げるための便利な機能と言えます。

機能 動作 メリット 使用シーン例 設定
自動露出調節機能(AEB) 明るさを自動で変えて複数枚の写真を撮る 撮影後に最適な一枚を選べるため、露出の失敗が減る 逆光の人物撮影、夕焼けの風景撮影など 明るさの変化量、撮影枚数を調整可能
明るさの異なる複数枚の写真を撮影し、最適な露出のものを選択できる機能

AEBの活用場面

AEBの活用場面

自動露出重ね合わせ(AEB)機能は、様々な撮影場面で写真の表現力を高める強力な道具となります。特に、風景写真や人物写真において、その真価を発揮します。風景写真では、空と地面の明るさの差が激しい場合によく遭遇します。例えば、夕焼けの空を背景に建物を撮影する場合、空を基準に露出を合わせると、建物が暗く沈んで写ってしまいます。逆に、建物を基準に露出を合わせると、空が白飛びしてしまい、美しい夕焼けの色合いが失われてしまいます。このような状況で、AEB機能を使うことで、異なる明るさで複数枚の写真を撮影し、後から最も適切な露出のものを選んだり、合成処理を行うことで、空と地面の両方のディテールを再現した、より印象的な写真に仕上げることができます

人物写真においても、AEBは肌の明るさを自然に表現するのに役立ちます。特に、逆光で撮影する場合、顔に影ができやすく、肌の色合いが不自然になりがちです。AEB機能を使えば、様々な明るさの写真を撮影し、最適な一枚を選ぶことで、肌の質感を損なうことなく、自然で美しい仕上がりを得ることができます。また、商品写真など、色の再現性が重要な撮影においても、AEBは有効です。微妙な明るさの違いで色の見え方が変わるため、複数枚撮影することで、実物に忠実な色合いで商品を表現することができます

一方で、AEB機能が適さない場合もあります。動きの速い被写体を撮影する場合、例えばスポーツ競技や野鳥撮影などでは、AEB機能を使わず、露出を固定して撮影するか、高速連写機能を使う方が効果的です。AEB機能では複数枚を連続して撮影するため、その間に被写体が動いてしまい、露出がずれた写真が撮れてしまう可能性があります。また、動きが速い被写体の場合、最適な瞬間を捉えるためには、シャッターチャンスを逃さないことが重要です。AEB機能を使うことで、その機会を逃してしまう可能性が高まります。そのため、動きの速い被写体を撮影する際は、AEB機能ではなく、他の撮影方法を検討することが大切です。

撮影シーン AEBのメリット AEBのデメリット
風景写真
(例: 夕焼けの空と建物)
空と地面の明るさの差が激しいシーンで、複数枚撮影し合成することで、白飛びや黒つぶれを防ぎ、ディテールを再現した印象的な写真に仕上げることができる。
人物写真
(例: 逆光での撮影)
肌の明るさを自然に表現。様々な明るさの写真から最適な一枚を選べる。肌の質感を損なわず、自然で美しい仕上がり。
商品写真 微妙な明るさの違いで色の見え方が変わるため、複数枚撮影することで実物に忠実な色合いで商品を表現。
動きの速い被写体
(例: スポーツ競技、野鳥撮影)
被写体が動いてしまい、露出がずれた写真が撮れてしまう可能性がある。シャッターチャンスを逃す可能性が高まる。

AEB設定方法

AEB設定方法

自動露出重ね合わせ(AEB)を使うと、明るさが少しずつ違う写真を一度に何枚も撮ることができます。設定方法はカメラによって違いますが、基本的な流れは同じです。まず、撮影の設定をする場所を探しましょう。多くのカメラでは、上面にある撮影モードのダイヤルや、画面に表示されるメニューの中に、AEBの項目があります。そこを選んで設定を始めます。

AEBでは、何枚の写真を撮るかと、明るさの差をどれくらいにするかを決めることができます。撮る枚数は、たいてい3枚か5枚から選べます。明るさの差は、1、2、3といった数字にEVという単位が付いています。この数字が大きいほど、一番明るい写真と一番暗い写真の明るさの差が大きくなります。例えば、3枚撮りで明るさの差を1に設定すると、標準の明るさの写真と、それより少し明るい写真と、少し暗い写真の3枚が撮れます。明るさの差を3にすると、明るい写真と暗い写真の差がもっと大きくなります。

設定が終わったら、あとはいつも通りにシャッターボタンを押すだけです。設定した枚数分、自動で写真を連続して撮ってくれます。1回シャッターを押すだけで、色々な明るさの写真が撮れるので、後で明るさを選びたい時や、明るさの違う写真を重ね合わせて特別な効果を出したい時に便利です。

AEBを使う前に、カメラの説明書をよく読んで設定方法を確認しておきましょう。機種によって細かい操作方法が違うので、事前に確認しておくと撮影の時に戸惑うことがありません。最近は、AEBが使えるカメラが増えているので、ぜひ試してみてください。

設定項目 内容
撮影の設定場所 カメラ上面の撮影モードダイヤルまたは画面メニュー
撮影枚数 3枚または5枚(機種による)
明るさの差(EV値) 1, 2, 3などの数値を選択。数値が大きいほど明るさの差が大きい
撮影方法 設定後、シャッターボタンを押す
事前準備 カメラの説明書をよく読んで設定方法を確認

AEB使用上の注意点

AEB使用上の注意点

自動露出調整(略称AEB)をうまく使うには、いくつか気を付けることがあります。まず、AEBを使うと、カメラが何枚も続けて写真を撮るので、一枚一枚に使えるデータの量が減ってしまいます。特に、写真のデータを保存する場所の容量が少ない場合は、すぐにいっぱいになってしまうことがあるので気を付けましょう。

次に、動くものが速い場合は、AEBはあまり向きません。動いている間に明るさが変わってしまうと、思っていたのと違う写真になってしまうことがあります。例えば、走っている子供や飛んでいる鳥などは、AEBで撮るとうまくいかないことが多いです。

また、AEBを使うと、いつもより多くの写真が撮られます。ということは、後からどの写真を使うか選ぶのが大変になるということです。撮る枚数を少なく設定するか、後でいらない写真を消すなど、写真の整理をうまくやるようにしましょう。例えば、風景写真など、じっくり撮れる場合は、AEBで色々な明るさの写真を撮って、一番良いものを選ぶことができます。しかし、子供の運動会など、決定的瞬間を逃したくない場合は、AEBではなく、一枚一枚丁寧に撮る方が良いでしょう。

このように、AEBには良い点と悪い点があります。どんな写真を撮りたいか、どんな状況かによって、AEBを使うかどうかを判断することが大切です。適切な場面でAEBを使うことで、より美しい、思い出に残る写真が撮れるようになります。

自動露出調整(AEB)を使うときの注意点 詳細
データ容量の消費 AEBは複数枚の写真を撮影するため、保存容量に注意が必要。 容量が少ない場合はすぐにいっぱいになる可能性がある。
動きの速い被写体への不向きさ 動いている間に明るさが変わると、意図しない写真になる。 走っている子供、飛んでいる鳥
写真選択の手間 撮影枚数が増えるため、後から写真を選ぶのが大変になる。 撮る枚数を少なく設定するか、後でいらない写真を消す。
AEBの使い分け 状況に応じてAEBを使うかどうか判断する。 風景写真などじっくり撮れる場合はAEB、子供の運動会など決定的瞬間を逃したくない場合はAEBを使わない。