薄暮で見え方が変わる?プルキンエ現象

薄暮で見え方が変わる?プルキンエ現象

写真について聞きたい

『プルキンエ現象』って、写真撮影とか編集で何か関係ありますか?なんか難しそうな説明でよくわからないんですけど…

写真研究家

そうだね、少し難しいね。簡単に言うと、明るいところでは赤色が明るく見え、暗いところでは青色が明るく見える現象のことだよ。写真撮影では、夕暮れ時など薄暗い場所で、人間の目には赤色が暗く青色が明るく見えるのに対し、カメラはそのままの色を記録してしまうために、青みがかって写ってしまうことがあるんだよ。

写真について聞きたい

なるほど。じゃあ、写真編集で青みがかった写真を補正するのは、プルキンエ現象を考慮しているってことですか?

写真研究家

そういうこと!プルキンエ現象を意識して、ホワイトバランスを調整したり、色調補正をすることで、人間の目で見た時のように自然な色合いに近づけることができるんだ。

プルキンエ現象とは。

『プルキンエ現象』とは、写真撮影や写真編集に関係する言葉で、周りの明るさが変わっても色の見え方が変わる現象のことです。具体的には、明るい場所から暗い場所に移動すると、赤い光よりも青い光の方が明るく見えるようになります。言い換えると、目が暗さに慣れていくにつれて、一番明るく見える色の種類が青っぽい色の方へずれていく現象のことです。

夕暮れ時の色の変化

夕暮れ時の色の変化

夕暮れ時、空の色が刻一刻と変化していく様は、私たちを魅了します。太陽が沈み、あたりが徐々に暗くなっていくと共に、周りの景色も不思議な変化を見せ始めます。昼間は太陽の光を浴びて鮮やかに赤く輝いていた花も、夕暮れ時には青みがかって見えたり、時には紫がかって見えることもあります。また、緑の葉っぱと比べ、赤色の花の方が明るく見えていたのに、暗くなってくると葉っぱの方が明るく見えるようになることも珍しくありません。このような現象は、プルキンエ現象と呼ばれ、私たちの視覚の特性によるものです。

このプルキンエ現象は、19世紀のチェコの生理学者、ヤン・エヴァンゲリスタ・プルキンエによって発見されました。彼は夕暮れ時の散歩中に、ふと、赤い花と緑の葉っぱの見え方が変化していることに気づきました。昼間は鮮やかな赤色だった花が、夕暮れ時には黒っぽく見え、逆に緑色の葉っぱの方が明るく見えたのです。この不思議な現象に興味を持ったプルキンエは、研究を重ね、視覚における明るさに対する感度の変化が原因であることを突き止めました。

人間の目は、明るい場所では赤色に感度が高く、暗い場所では青色に感度が高くなります。そのため、昼間は赤色の波長の光をよく感じ取り、赤色が鮮やかに見えます。しかし、夕暮れ時になり、光が弱まると、今度は青色の波長の光をよく感じ取るようになり、青色が目立つようになるのです。これが、赤い花が青みがかって見えたり、緑の葉っぱが相対的に明るく見える理由です。つまり、私たちが見ている色は、物体の色そのものだけでなく、周囲の明るさにも影響を受けて変化しているのです。

夕暮れ時の散歩は、単に景色を楽しむだけでなく、私たちの視覚の不思議さを体験できる貴重な機会でもあります。身の回りの色の変化に注意を払うことで、プルキンエ現象を実際に感じ、自然の奥深さを改めて実感することができるでしょう。

時間帯 明るさ 色の見え方 感度が高い色
昼間 明るい 赤色が鮮やか 赤色
夕暮れ時 暗い 赤色が青みがかる、葉が明るく見える 青色

視細胞の働き

視細胞の働き

私たちの目は、カメラのように光を受けて像を結びます。そして、その光を捉える大切な役割を担っているのが視細胞です。視細胞には、明るい場所で働く錐体細胞と、暗い場所で働く桿体細胞の二種類があります。

錐体細胞は、色の識別に大きく関わっています。この細胞の中には、それぞれ赤、緑、青の光に反応する三種類の色センサーがあります。これらのセンサーが受け取った光の情報を脳に送ることで、私たちはカラフルな世界を見ることができるのです。日中の明るい場所では、主にこの錐体細胞が活躍し、鮮やかな色の風景を認識することができます。特に、錐体細胞は赤い光に強く反応するため、明るい場所では赤い物がより鮮やかに、明るく感じられます。

一方、桿体細胞は、薄暗い場所でその真価を発揮します。桿体細胞は色を識別することはできませんが、わずかな光を捉えて明暗を識別する能力に優れています。夜空の星明かりのような、弱い光でも物体の形や輪郭を認識できるのは、この桿体細胞のおかげです。桿体細胞は青緑色の光に最も強く反応する性質を持っています。そのため、夕暮れ時や夜など、周囲が暗くなってくると、青みがかったものが相対的に明るく見えるようになります。これをプルキンエ現象といいます。

このように、私たちの目は周囲の明るさに応じて、錐体細胞と桿体細胞を使い分けることで、明るい場所でも暗い場所でも的確に物を見ることができるのです。明るい場所では錐体細胞が、暗い場所では桿体細胞が、まるでバトンタッチをするように、私たちの視覚を支えているのです。

視細胞の種類 働く場所 機能 反応する光
錐体細胞 明るい場所 色の識別 赤(強く反応)、緑、青
桿体細胞 暗い場所 明暗の識別 青緑色(最も強く反応)

色の見え方の変化

色の見え方の変化

私たちは、明るい場所と暗い場所で、色の見え方が変わることを経験します。これをプルキンエ現象といいます。この現象は、私たちの眼の中に、錐体細胞と桿体細胞という二種類の視細胞があることに起因します。明るい場所では主に錐体細胞が、暗い場所では主に桿体細胞が働きます。錐体細胞は色覚を司り、桿体細胞は明暗を識別する役割を担っています。

身近な例として、信号機を考えてみましょう。昼間は赤、黄、緑の三色に見えますが、夜になると緑色の信号が青みがかって見えることがあります。これは、暗くなるにつれて桿体細胞が働き始め、緑色の光よりも青緑色の光に強く反応するためです。このように、桿体細胞は青緑色の光に最も感度が高く、次に青、そして緑、黄、赤の順に感度が低くなります。

夕焼けの空が赤く見えるのも、プルキンエ現象と関連づけて説明できます。太陽の光には様々な色の光が含まれていますが、大気中を通過する際に青い光は散乱し、赤い光は散乱されにくく、私たちの目に届きやすくなります。さらに日が暮れて暗くなってくると、桿体細胞がより活発に働くようになります。すると、錐体細胞が捉える赤い光に加えて、桿体細胞も反応するため、夕焼けはより赤く、時には燃えるように鮮やかに見えるのです。

このようにプルキンエ現象は、私たちの周りの風景の見え方を大きく変えます。これは単に面白い視覚体験をもたらすだけでなく、信号機の色の変化を認識することで夜間の安全な運転にも繋がるなど、私たちの生活において重要な役割を担っています。色の見え方の変化に意識を向けることで、日常の風景をより深く味わうことができるでしょう。

明るさ 働く視細胞 色の見え方 解説
明るい 錐体細胞 赤、黄、緑 昼間の信号機 錐体細胞は色覚を司る
暗い 桿体細胞 青みがかった緑 夜間の信号機 桿体細胞は青緑色の光に強く反応する。感度の高い順に、青緑>青>緑>黄>赤
暗い 錐体細胞、桿体細胞 より鮮やかな赤 夕焼け 錐体細胞が捉える赤い光に加え、桿体細胞も反応する

写真撮影への応用

写真撮影への応用

写真は、光を捉えて写し取るものです。そのため、光の状態によって写り方が大きく変わります。夕暮れ時や夜間など、光が乏しい時間帯は、私たち人間の目と写真では、色の見え方が異なってしまうことがあります。これはプルキンエ現象と呼ばれるものと関係があります。

人間の目には、明るい場所では色を識別する細胞が、暗い場所では色の識別よりも明るさを感じ取る細胞が、それぞれよく働きます。そのため、明るい場所では赤色が鮮やかに見え、暗い場所では青色が目立つように感じます。一方、写真の機械であるカメラは、人間の目とは異なる仕組みで光を捉えます。人間の目のような細胞の違いはなく、光の量をそのまま記録するため、夕暮れ時などでは、人間の目で見た時よりも青色が弱く写ってしまいます。

この違いを調整するために、写真機には色のバランスを整える機能があります。これを適切に使うことで、人間の目で見た時の印象に近い写真に仕上げることができます。また、色の見え方の変化を活かして、独特な雰囲気の写真を撮ることもできます。例えば、青い花を薄暗い場所で撮影すると、より神秘的な印象を与えることができます。

夕暮れ時や夜間以外にも、この現象を意識することで、より印象的な写真を撮ることができます。例えば、木漏れ日の下で撮影する際には、光が強く当たる場所と影になっている場所とで色の見え方が変わります。これを活かすことで、奥行きや立体感のある写真を撮ることが可能です。また、色の薄い被写体を撮影する場合、背景の色との組み合わせによって、被写体の色が違って見えることがあります。背景の色に青色を選ぶと、被写体が少し赤みを帯びて見えるでしょう。逆に、背景の色に赤色を選ぶと、被写体が少し青みを帯びて見えるでしょう。

このように、光と色の関係を理解し、撮影時に工夫することで、より魅力的な写真を撮ることができるのです。

状況 人間の目の見え方 写真の見え方 対策・活用
夕暮れ時や夜間 青色が目立つ 青色が弱い カメラの色バランス調整機能を使う、青を強調して神秘的な雰囲気を出す
木漏れ日の下 光と影で色の見え方が変わる 光と影で色の見え方が変わる 奥行きや立体感を出す
色の薄い被写体 背景色に影響される 背景色に影響される 背景色との組み合わせで被写体の色を調整する(青背景で赤み、赤背景で青み)

色の不思議

色の不思議

私たちは、日が昇り、日が沈むにつれて、周りの景色が刻々と変化していく様を目にします。明るい日中には、鮮やかな赤い花や緑の葉っぱが目に飛び込んできますが、日が暮れてあたりが暗くなってくると、同じ花や葉っぱの見え方が変わってきます。この色の見え方の変化に大きく関係しているのがプルキンエ現象です。

プルキンエ現象とは、周囲の明るさが変わるにつれて、私たちの目に映る色の見え方が変化する現象のことです。簡単に言うと、明るい場所では赤い色が鮮やかに見えやすく、暗い場所では青い色が鮮やかに見えやすくなります。これは、私たちの目の中に、明るい場所で働く視細胞と、暗い場所で働く視細胞があり、それぞれの視細胞が色の感じ方に影響を与えているためです。

例えば、夕暮れ時に、赤いバラと青いネモフィラの花を並べて見てみましょう。日中の明るい時間帯には、赤いバラの方が鮮やかに見えますが、夕暮れが深まりあたりが暗くなってくると、青いネモフィラの花の方が鮮やかに見えるようになります。これは、プルキンエ現象による色の見え方の変化によるものです。明るい場所では赤色が優位に感じられ、暗い場所では青色が優位に感じられるのです。

このプルキンエ現象は、絵画や写真、舞台照明など、様々な分野で応用されています。画家は、この現象を意識して色を組み合わせることで、絵に奥行きや立体感を出したり、見る人の心に特定の感情を呼び起こしたりすることができます。写真家は、撮影する時間帯や照明を工夫することで、被写体の色をより効果的に表現することができます。また、舞台照明においても、プルキンエ現象を考慮することで、場面の雰囲気を強調したり、劇的な効果を生み出したりすることができます。このように、プルキンエ現象を理解することは、私たちの視覚体験をより豊かにし、芸術作品をより深く楽しむための鍵となるのです。

明るさ 優位に見える色 視細胞
明るい 明所で働く視細胞 日中の赤いバラ
暗い 暗所で働く視細胞 夕暮れの青いネモフィラ