写真の色:CIELAB色空間
写真について聞きたい
先生、「CIELAB色空間」って難しくてよくわからないんです。簡単に説明してもらえますか?
写真研究家
そうだね、難しく感じるのも無理はないよ。CIELAB色空間というのは、簡単に言うと、人の目の色の感じ方に近いように色を数値で表すためのしくみなんだ。たとえば、テレビ画面の色や印刷物の色を正確に表すために使われているんだよ。
写真について聞きたい
人の目の感じ方に近いように、ってどういうことですか?
写真研究家
例えば、赤と緑では色の「差」が大きく、赤と濃い赤では色の「差」が小さいように感じるよね?CIELAB色空間では、この色の「差」を数値で表現できるから、人の感覚に近い色の管理ができるんだ。明るさ(L*)、赤みと緑み(a*)、黄みと青み(b*)の3つの数値で色を表現しているんだよ。
CIELAB色空間とは。
写真や画像を扱う際に使われる「シー・アイ・イー・エル・エー・ビー色空間」について説明します。これは、色の見え方の違いを数値で均一に表すための仕組みで、実際に広く使われています。国際照明委員会(シー・アイ・イー)が1976年に定めました。この仕組みでは、明るさを表すL*、色あいを表すa*とb*という三つの数値を使います。L*、a*、b*はそれぞれ、色の三原色であるX、Y、Zと基準となる白のX、Y、Z(Xn、Yn、Zn)との比率を使って計算されます。具体的には、Y/Ynが0.008856より大きいとき、L*は116×(Y/Yn)^(1/3)-16で表されます。a*は、X/Xnが0.008856より大きいとき、500×[(X/Xn)^(1/3)-(Y/Yn)^(1/3)]で表されます。b*は、Z/Znが0.008856より大きいとき、200×[(Y/Yn)^(1/3)-(Z/Zn)^(1/3)]で表されます。
色の空間とは
写真は、光をとらえて記録し、それを再び私たちの目に見えるように再現する技術です。その光の色を数値で表し、管理するために使われているのが「色の空間」です。色の空間とは、色の見え方を数値にして、座標のように表したものです。色の表し方はいろいろありますが、写真の世界では色の明るさ、鮮やかさ、色合いといった要素を数値にすることで、色の再現性や編集の正確さを高めています。私たちが普段見ている色の世界を、計算機が理解し、操作できるようにするための大切な考え方と言えるでしょう。
色の空間には様々な種類がありますが、中でもよく知られているのがCIELAB色の空間です。CIELAB色の空間は、国際照明委員会(CIE)によって定められたもので、人間の目の色の見え方に基づいて設計されています。この色の空間は、明るさを表すL*、赤と緑の度合いを表すa*、黄色と青の度合いを表すb*の3つの数値で色を表します。L*の値が大きいほど明るく、小さいほど暗くなります。a*の値が正ならば赤っぽく、負ならば緑っぽくなります。b*の値が正ならば黄色っぽく、負ならば青っぽくなります。
CIELAB色の空間は、人間の色の見え方に近いので、色の違いを直感的に理解しやすいという利点があります。例えば、二つの色のL*、a*、b*の値の差を計算することで、その二つの色が人間にとってどれくらい違って見えるかを推定することができます。この性質は、写真の色の調整や色の再現において非常に役立ちます。
その他にも、写真編集でよく使われる色の空間としては、sRGBやAdobe RGBなどがあります。sRGBは、パソコンのモニターなどで一般的に使われている色の空間で、Adobe RGBは、sRGBよりも広い範囲の色を表現できる色の空間です。写真編集ソフトを使う際には、これらの色の空間の違いを理解しておくことが大切です。目的に合わせて適切な色の空間を選ぶことで、より正確で美しい写真に仕上げることができます。
色の空間 | 説明 | 特徴 |
---|---|---|
CIELAB | 人間の目の色の見え方に基づいて設計された色の空間。明るさ(L*)、赤と緑の度合い(a*)、黄色と青の度合い(b*)の3つの数値で色を表す。 | 人間の色の見え方に近いので、色の違いを直感的に理解しやすい。色の調整や色の再現において非常に役立つ。 |
sRGB | パソコンのモニターなどで一般的に使われている色の空間。 | 標準的な色の空間。 |
Adobe RGB | sRGBよりも広い範囲の色を表現できる色の空間。 | より広い色域を表現できる。 |
均等色空間:CIELAB
色の世界を数値で正確に捉える仕組みとして、「均等色空間」というものがあります。この均等色空間の中でも、代表的なものが「CIELAB色空間」です。一体どういうものなのでしょうか。
私たち人間は、色の違いを感覚的に捉えています。しかし、色の感覚を数値で表現することは容易ではありません。そこで、色の変化を数値の変化に対応させることを目指して作られたのが、均等色空間です。例えば、数値上で色の差が「2」と「4」の2つがあったとします。この時、均等色空間では、この数値の差である「2」と同じだけ、人間の目にも色の違いが感じられるように設計されているのです。
CIELAB色空間は、まさにこの均等色空間の代表例です。写真や印刷物など、色の正確さが求められる場面で幅広く使われています。写真編集ソフトで色を調整する際や、印刷で色を管理する際など、色の違いを数値で正確に表せるCIELAB色空間は、とても頼りになる存在です。
CIELAB色空間では、色の表現方法に特徴があります。色の三要素である「明るさ」、「赤みと緑み」、「黄みと青み」の3つの軸で色を表現します。明るさは黒から白までの変化を表し、赤みと緑みは赤色から緑色の変化を表し、黄みと青みは黄色から青色の変化を表します。これらの3つの軸を組み合わせることで、あらゆる色を数値で表現することが可能になります。
色の違いを数値で管理できるということは、色の再現性を高める上で非常に重要です。写真で見た色を印刷物で忠実に再現したり、パソコンの画面で見た色を別の画面でも同じように表示したりするためには、CIELAB色空間のような均等色空間の存在が欠かせません。これにより、私たちは様々な媒体を通して、意図した通りの色を共有することができるのです。
CIELABの三要素:L*a*b*
色の世界を数値で捉えるための方法の一つに、「シーラブ」と呼ばれる色の体系があります。これは、色の見え方を人間の感覚に基づいて数値で表すための工夫で、あらゆる色を「明るさ」「赤みと緑み」「黄みと青み」という三つの要素で表現します。まるで料理の味付けのように、この三つの要素を調整することで、目的の色を作り出すことができます。
まず、明るさを表すのが「エルスター」と呼ばれる要素です。これは、0から100までの数値で明るさを表し、0が黒、100が白を意味します。ちょうど、夜空の星を思い浮かべていただくと分かりやすいでしょう。暗い夜空はエルスターの値が低く、明るい満月はエルスターの値が高くなります。
次に、「エースター」は赤みと緑みを表す要素です。こちらは、プラスの値が赤色、マイナスの値が緑色を表します。例えば、熟したリンゴの鮮やかな赤色はプラスのエースターの値を持ち、青々とした葉っぱはマイナスのエースターの値を持ちます。
最後に、「ビースター」は黄みと青みを表す要素で、プラスの値が黄色、マイナスの値が青色を表します。例えば、ひまわりの黄色い花びらはプラスのビースターの値、空の青色はマイナスのビースターの値となります。
これら三つの要素、エルスター、エースター、ビースターを組み合わせることで、すべての色を数値で表現することができます。まるで、三次元の地図のように、色の空間を想像してみてください。エルスターは上下方向の明るさを、エースターは左右方向の赤みと緑みを、ビースターは前後方向の黄みと青みを表します。この三次元空間の中で、それぞれの色の位置が決まり、色と色の違いは空間的な距離として捉えることができます。そのため、色の変化をより直感的に理解することが可能になります。例えば、二つの色の距離が近い場合は色の違いも小さく、距離が遠い場合は色の違いも大きいと判断できます。
要素 | 意味 | 値 | 例 |
---|---|---|---|
エルスター (L*) | 明るさ | 0 (黒) – 100 (白) | 暗い夜空 (低), 明るい満月 (高) |
エースター (a*) | 赤みと緑み | + (赤), – (緑) | 熟したリンゴ (赤, +), 青々とした葉っぱ (緑, -) |
ビースター (b*) | 黄みと青み | + (黄), – (青) | ひまわりの花びら (黄, +), 空の色 (青, -) |
色の計算式と意味
{色の世界を数値で表す方法}として、計算式が使われていることをご存知でしょうか?私たちが目にする色は、実は複雑な計算によって数値化され、管理されています。
色の数値化によく用いられるのが、「シーアイイーエルエービー色空間」と呼ばれるものです。この色空間では、色の明るさを表すエルスター、赤みと緑みを表すエースター、黄みと青みを表すビースターという三つの数値で、すべての色が表現されます。
では、このエルスター、エースター、ビースターの値はどのように決まるのでしょうか?その答えは、「三刺激値」と呼ばれる、エックス、ワイ、ゼットという三つの値にあります。
私たちの目には、光の三原色(赤、緑、青)を感じる三種類の細胞が存在します。三刺激値は、これらの細胞が光にどのように反応するかを数値化したものなのです。例えば、赤い光を見ると、赤を感じる細胞が強く反応し、エックスの値が大きくなります。緑や青の光に対しても、同様にワイとゼットの値が変化します。
シーアイイーエルエービー色空間の計算式には、この三刺激値と、「基準となる白」の三刺激値が含まれています。基準となる白とは、色の比較対象となる白のことです。この白を基準にすることで、様々な色の見え方の違いを数値で比較することが可能になります。
計算式自体は少々複雑ですが、人の目の感じ方に合わせた色の表現を可能にするという点で、非常に重要な役割を担っています。この計算式のおかげで、色のわずかな違いを正確に数値化し、画面上でも印刷物でも、意図した通りの色を再現することができるのです。
写真編集とCIELAB
写真の編集作業において、色の調整は写真の印象を大きく左右する重要な要素です。色の明るさや鮮やかさを調整することで、写真の雰囲気をがらりと変えることができます。そして、その色調整をより精密に行うために役立つのが「CIELAB色空間」です。
多くの写真編集ソフトでは、色の表現方法としてRGBやCMYKなどが用いられています。これらの表現方法は、画面表示や印刷には適していますが、人間の色の感じ方と必ずしも一致しません。一方、CIELAB色空間は人間の色の知覚に基づいて設計されているため、色の変化を数値で正確に捉えることができます。例えば、赤色の鮮やかさを数値で表すことで、その変化量を客観的に把握し、より意図通りの色合いに調整することが可能になります。
CIELAB色空間を利用することで、写真の色相、彩度、明度を個別に調整できます。例えば、夕焼け写真の赤色の彩度だけを強調して、よりドラマチックな雰囲気を演出したり、人物写真の肌の色相をわずかに調整して、より自然で健康的な印象に仕上げたりすることが可能です。さらに、色の範囲を指定して部分的に調整することも容易になります。例えば、花の写真で特定の花びらの色だけを鮮やかにしたり、風景写真で空の色だけを調整して、全体のバランスを整えたりすることができます。
CIELAB色空間は、異なる機器で撮影された複数の写真の色を統一する際にも役立ちます。デジタルカメラやスマートフォンなど、機種によって色の表現方法は様々です。そのため、同じ被写体を撮影しても、機種によって色の見え方が異なる場合があります。CIELAB色空間を介することで、これらの色の違いを数値化し、統一感のある色合いに補正することができます。これにより、複数の写真を組み合わせた作品作りや、アルバム作成時に、全体の色調を揃えることが容易になります。
メリット | 説明 | 使用例 |
---|---|---|
人間の知覚に基づく正確な色調整 | CIELAB色空間は人間の色の知覚に基づいて設計されているため、色の変化を数値で正確に捉えられます。 | 赤色の鮮やかさを数値で表すことで、変化量を客観的に把握し、意図通りの色合いに調整。 |
色相、彩度、明度の個別調整 | 写真の色相、彩度、明度を個別に調整できます。 | 夕焼け写真の赤色の彩度を強調してドラマチックな演出、人物写真の肌の色相を調整して自然で健康的な印象に。 |
部分的な色調整 | 色の範囲を指定して部分的に調整することも容易です。 | 花の写真で特定の花びらの色だけを鮮やかに、風景写真で空の色だけを調整して全体のバランスを整える。 |
複数の写真の色調統一 | 異なる機器で撮影された複数の写真の色を統一する際に役立ちます。 | 機種によって色の見え方が異なる場合でも、CIELAB色空間を介することで色の違いを数値化し、統一感のある色合いに補正。 |
色の管理と活用
色の世界は奥深く、写真や印刷物、デザインなど様々な分野で正確な色の再現が求められています。色のわずかな違いが、製品の印象や品質に大きな影響を与えることもあるでしょう。そこで重要な役割を果たすのが、色の管理です。色の管理とは、色の見え方を数値化し、客観的に扱うことを指します。これにより、異なる機器や環境でも同じ色を再現することが可能になります。
この色の管理で広く活用されているのがCIELAB色空間です。CIELAB色空間は、人間の色の感じ方を数値で表すための仕組みで、色を明るさ、赤みと緑みの度合い、黄みと青みの度合いの3つの要素で表現します。これにより、色の違いを数値で正確に把握し、管理することが可能になります。
例えば、印刷物を制作する場面を考えてみましょう。パソコンの画面で美しく表示されている写真も、印刷してみると全く違う色になってしまうことがあります。これは、画面と印刷物では色の表現方法が異なるためです。しかし、CIELAB色空間を用いれば、画面の色と印刷物の色を数値で比較し、その差を調整することができます。つまり、画面で見ている色とほぼ同じ色で印刷物を仕上げることが可能になるのです。
また、製品の色を管理する場合にもCIELAB色空間は役立ちます。例えば、同じ製品でも製造時期や工場が異なると、色の微妙な違いが生じることがあります。しかし、CIELAB色空間を用いて製品の色を数値化することで、色のばらつきを客観的に評価し、品質基準を満たしているか確認することができます。これにより、常に一定の色の品質を保つことが可能になり、製品の信頼性を高めることにも繋がります。このように、CIELAB色空間は色の管理と活用においてなくてはならない重要な道具と言えるでしょう。
色管理の重要性 | CIELAB色空間 | 適用例 |
---|---|---|
色の見え方を数値化し、客観的に扱うことで、異なる機器や環境でも同じ色を再現可能にする。 | 人間の色の感じ方を数値で表す仕組み。色を明るさ、赤みと緑みの度合い、黄みと青みの度合いの3要素で表現。 | 印刷物:画面の色と印刷物の色を数値で比較し、その差を調整。製品の色:色のばらつきを客観的に評価し、品質基準を満たしているか確認。 |